天然ガスと原子力は「お墨付き」を得た!?

 欧州の天然ガス価格を押し上げている要因の一つに、「脱炭素起因の需要増加観測」が挙げられます。

 欧州では、燃焼時に排出される二酸化炭素の量が比較的多い石炭から、比較的少ないとされる天然ガスにシフトすることが、「脱炭素」を進める上で有用であるという考え方が、主流になりつつあります。

 2022年1月1日、EU(欧州連合)の欧州委員会は、天然ガスと原子力を「脱炭素」推進に資するエネルギーであるとの見方を示しました。これにより欧州では、「脱炭素」をきっかけに、ますます、天然ガスの重要度が増す可能性が高まりました。

 見方が示されたに過ぎないとはいえ、天然ガス、および、同時に指名された原子力は、環境配慮先進地域である欧州から、ある意味「お墨付き」をもらえるほど、注目されていると言えるでしょう。

 自動車排ガス規制がそうであるように、環境配慮先進地域である欧州の動きは、世界全体の環境対応の先行指標になります。「脱炭素」を進めるにあたり、今回の天然ガスと原子力にお墨付きを与えた欧州の方針が、将来的に、世界の方針になる可能性があります。

 欧州のルールにのっとらない場合、その企業や国が、政治や貿易などの関わりにおいて、欧州と疎遠になるリスクが生じます。今のところ、欧州と関わりを維持・強化することを望むのであれば、環境配慮先進地域のルールにのっとる必要があります。

図:欧州委員会は「天然ガス」「原子力」に注目

出所:筆者作成