5.バランスファンドがいいか、ラップ運用がいいか?

答え「×」。どちらもダメだ。

 アセットアロケーションを他人に丸投げして、利用の手数料が高く、しかも選択される投資対象でも手数料の高い商品が選ばれる場合がある対面営業の証券会社のラップ運用は、考えられる中でも「最低・最悪の部類」の運用なので、バランスファンドの方が「まだマシだ」という優劣関係は決まるので、二択問題自体は成立している。

 しかし、バランスファンドも投資家にとって良い選択肢ではない。

 先ず、アセットアロケーションは自分で決めた方がいい。バランスファンド任せにすると、自分が保有しているリスクの大きさや性質が把握しにくくなる。バランスファンドを選んでも、投資家本人のアセットアロケーションの問題は残る。バランスファンドを含む、自分のアセットアロケーションを把握して、決定しなければならない。

 バランスファンドを初心者向けだと言い張る怪しいマネーアドバイザーもいるが、バランスファンドは決して初心者向けではない。

 また、バランスファンドで投資するよりも、同様のアセットアロケーションのファンドに単品を組み合わせて投資する方が手数料は安く済む場合が多い。

 また、現在の債券利回りの状況で、債券にも投資するバランスファンドを選ぶことは非効率的だ。

 お金の問題で二択の問題設定が適切でないケースには、「分散投資の方がいい」というケースの他に、本問のように二択の選択肢が両方ダメという場合もある。

6.資金を分割して投資するのがいいか、一括投資がいいか?

答え「○」。一括投資がいい。

 投資タイミングを時間分散する方がいいと本気で思っているお金のアドバイザーがいるかも知れないし、投資家の性格によると言いたい人がいるかも知れないが、(1)いいタイミングを判断することは出来ないが、(2)リスク資産に投資するのが有利だと思っているのだから時間を無駄にしない方がいい(経済学用語では「機会費用」がもったいない)、という2つの前提条件が成立しているので、自分に取って適切な額をサクッと一括投資してしまうのがいいと結論を出すことが出来る。

 お金の問題は、損得で判断していい場合は、前提条件が決まると結論が1つに決まるものなので、グズグズせずに割り切った結論を出すことを躊躇しない方がいい。

7.インデックスファンドがいいか、アクティブファンドがいいか?

答え「○」。インデックスファンドの方がいい。

 厳密に言うなら、アクティブファンドの反対語はパッシブファンドであり、ベンチマークとファンドがターゲットとするインデックスが異なる場合には、「インデックスファンドだが同時にアクティブファンドでもある」という場合があり得るので、この二択問題は正確な出題ではない。入学試験には使えないレベルの問題である。

 もっとも、通常の投資の世界では、出題が指示する内容に大きな疑問はないだろう。そして、答えは1つに決められる。

 前提となる条件として、(1)インデックスファンドの平均的な運用成績はアクティブファンドの平均的な成績に勝っており、(2)運用成績が相対的に良いアクティブファンドを事前に選ぶことは出来ない、という2つの事実がある。

 これら2つの否定しがたい事実を論理的に組み合わせると、アクティブファンドを選択することが経済合理的な選択にはなり得ないことが分かる。

 大まかに言うと、アクティブファンドの平均像とインデックスファンドのポートフォリオが一致していて、インデックスファンドの方が運用に関わる手数料やファンド内の売買コストが低いから、(1)の成立は確実であり、アクティブファンドの上手い選び方が本当にあるならダメなアクティブファンドに資金が集まることはないはずなのに、現実にダメなアクティブファンドがある事実を踏まえると(2)も否定しがたい。

「アクティブファンドの目利きが大事だ」とか「過去のパフォーマンスをしっかり調べた方がいい」という意見は、良いアクティブファンドを選ぶことができるという雰囲気を醸し出したい人による「論点ずらし」に過ぎない。

 現状では、アクティブファンドを勧めるアドバイザーは、無知であるか、意図的な嘘つきであるか、金融機関のセールスマンに過ぎないかの何れかである。

 例外はない。