2.割安株投資がいいか、成長株投資がいいか?

答え「×」。両方に分散投資する方がよりいい。

 割安株、成長株をどう定義するかによって議論は変化するかも知れないが、金融の意思決定としては、異なる属性の対象に分散投資することで、投資の効率(リスク当たりの期待リターン)を改善できるので、分散投資する方がいい。

 この設問は、二択で考えること自体が不適切な事例だ。

 同様に、例えば、高成長が予想されていて株価が高い国と、低成長が予想されていて株価が安い国とがあれば、両国の株式に分散投資するのが正解になる。

 投資では、どちらか一方を選ぶのではなく、両方に分散投資することが正解になる場合が多いので、二択のフレームワークの外に出る発想が大切であることを覚えておいて欲しい。

3.S&P500に投資するのがいいか、全世界株に投資するのがいいか?

答え「○」。全世界株に投資する方がいい。

 厳密には、「インデックスファンドに投資するとして」、「1銘柄だけで投資するとして」といった言葉を補わないと答えが決まらないが、一国だけの株式市場に投資するよりも、全世界の株式に分散投資する方が優れているので、答えを1つに決めていいだろう。

 もちろん、前提条件として、米国以外の株式に既に投資していて、米国株式への比率を高めたいといった事情を持つ投資家にとって、S&P500のインデックスファンドを買うことが正解になり得るので、読者がS&P500のインデックスファンドを買うことが「常にダメ」という訳ではない。

4.はじめに投資する場合、iDeCoがいいか、つみたてNISAがいいか?

答え「△」。投資家の状況による。例えば課税される所得があるならiDeCoがいい。

 これは、二択で問うこと自体は適切だが、前提条件によって答えが変わる性質の問題だ。答えは「○」でも「×」でもない。

 サラリーマンやフリーランスなど、働いていて課税される所得がある場合は、所得控除のメリットが大きいiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)を先ず使う方が適切な場合が多いだろう。

 一方、専業主婦など課税される所得がない人の場合、「60歳まで引き出せない」という制約があるiDeCoよりも、自由に解約できる流動性があるつみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)の方が便利だという状況があり得る。

 現実的には、iDeCoだけでは将来必要な金額の資産が準備できない場合が多いだろうから、iDeCoと、つみたてNISA或いは一般NISAを併用し、更に足りない場合は一般の課税口座(ネット証券の特定口座など)を使って運用するといい。

 若いサラリーマンの場合、なるべく早くネット証券に口座を開いて、iDeCoとつみたてNISAの口座を作り、毎月5千円ずつでもいいので、利用を開始しておくと、その後に「億劫で投資を始められなかった」と後悔する状況を避けやすいと思う。後から利用額を増やすといい。