2022年、事象発生の方向性は2021年をなぞる

 ここまで、2022年を長期的な視点で考察しました。ここからは、そこで得られた条件をもとに、もう少し細かく、2022年に発生し得る事象について考えます。

 仮に、元年(2020年)から、世界(小規模な社会を含む)で「効率的消費・理性重視・格差是正・低リスク社会の模索」、「新しい常識の創造」に向けた、長期的な動きが加速しはじめたばかりなのであれば、3年目にあたる2022年も、2021年と同様の事象が発生する可能性があります。

図:長期視点の考察で得られた、2022年も起き得る事象(2021年の踏襲)

出所:筆者作成

「効率的消費・理性重視・格差是正・低リスク社会の模索」、「新しい常識の創造」に向けてさまざまな事象が動き出したとはいえ、元年からわずか3年足らずでは(想定する終点は2050年)、まだまだ「黎明期(れいめいき)」、「過渡期(かとき)」の域にとどまっていると考えるのが妥当でしょう。

※黎明期:黎明は夜明けの時間帯。黎明期は、諸分野で新しい時代が始まろうとする時期。
※過渡期:安定しない、物事の移りかわりの時期。

 このため、基本的に2022年は、1.2021年と同じような市場を変動させる事象が発生する、2.同じような事象でも市場が受ける短期的なインパクトは2021年よりも大きくなる、可能性が浮上します。

 具体的には、新型コロナの変異株が複数発見される、中国の影響力が増す、異常気象起因の大規模災害が起きる、「脱炭素」と「新型コロナ」を巡る技術革新が進む、覇権争いが増す、脱炭素起因の原油高が起きるなど、2022年も、2021年と同様の事象が起きることを想定することが重要だと、考えます。

 また、事態が「加速」していることを考えれば、2021年よりも2022年の方が、各事象がもたらす市場への短期的なインパクトが強くなることが想定されます。

 前例があるから適切に対応できる、という考え方もあるかもしれませんが、元年に発生した「脱炭素」「新型コロナ」はまだ黎明期・過渡期にあるため、前例をもとに迅速に対処することは、2021年と同様、難しいと考えられます。(例えば、人類はまだ、新型コロナの変異株が発生した時の対処法を確立できていない。変異株発生は市場を急変させる。)

 さらには、一つの答えを導き出せない多様化や格差に関わる事象が、同時に目立った場合、市場の変動は、より大きくなる可能性もあります。(マイナスの意味で、複数が同時に目立った場合は要注意。人権問題や経済的格差に関わる事象など。)

 このように考えれば、2022年は、起き得る事象は2021年と大きく変わらないものの、各事象から受ける短期的なインパクトが大きくなる可能性があると、言えそうです。2021年をなぞるという点で言えば、楽観的な材料が過度に材料視されやすい、という傾向もみられるかもしれません。