大テーマを柱にして、2022年を長期視点でイメージする

 シナリオを立てるためには、2022年が、長期視点でどんな年になりそうかを言語化することが必要です。対象となる年の重要イベントをピックアップする従来の手法だけでは、不確定要素が多い2022年のシナリオを立てるには不十分だからです。

 図の終点(2030~2050年)は、各国が「脱炭素」推進のために約束している「パリ協定」順守の期限です。

図:2022年をはさんだ大局的な社会的変化

出所:筆者作成

 2022年は、「歴史的な社会的構造変化の3年目」であると、筆者は考えます。2020年を起点としているのは、バイデン氏の米大統領選挙勝利、新型コロナのパンデミック化、「脱炭素」議論の本格スタートが、2020年だったためです。

 バイデン氏の米大統領選挙での勝利は、「脱炭素」を世界的なブームにしたり、米中関係の方向性を変えたりする、大きな転換点だったと言えます。人類の習慣を大きく変えた新型コロナのパンデミック化も同じ年だったわけですので、まさに2020年は、人類にとって歴史的な社会構造変化の「元年」だったと言えるでしょう。

 また、「世界的な人口増加」、「大量消費・欲望重視・格差容認社会」、「インターネットの爆発的な普及」、「米国第一主義の崩壊」、「異常気象への懸念強まる」、という複数のテーマは、元年(2020年)以前から、存在していました。

 今後、超長期的には、元年以前から存在していた諸事象と、元年以降に目立ち始めた諸事象による相乗効果で、世界(小規模な社会を含む)は、「効率的消費・理性重視・格差是正・低リスク社会の模索」、「新しい常識の創造」に進むと、考えます。