リスクを分散するためのバランスファンドの使い方

 では、先ほど資産分散ポートフォリオの中で登場した、緩衝材となり得るバランスファンドとはいったいどのようなものでしょうか。具体的な商品例を挙げながら説明していきます。

 以前も、バランスファンドを選ぶのは非常に難しいことをお伝えしました。これはさまざまなニーズに合わせた、さまざまなタイプのバランスファンドが生み出されているためです。

 このようにいろんなタイプがあるバランスファンドも、大きく分けて2つのタイプで考えることができます。

リスク抑制型のバランスファンドとは?

 一つは、「リスク抑制型」と呼ばれるタイプ。最近新しく出るバランスファンドはこちらのタイプが多くなっています。こちらは、資産をなるべく守りたい方向けのファンドで、機動的に資産配分を変更して損失を一定範囲内に収めるように運用されているようなファンドです。先ほどお伝えした「資産分散ポートフォリオ」で緩衝材として使えるのは、こちらです。

 こちらのタイプで代表的なファンドとしては、「投資のソムリエ(アセットマネジメントOne)」や「ピクテ・マルチアセット・アロケーション・ファンド(愛称:クアトロ)」などが挙げられます。

リスク許容度型のバランスファンドとは

 もう一つのタイプは、「リスク許容度型」と名付けてみました。こちらはしっかり資産を増やしていきたい方向けで、それなりにリスクを取ったうえで、そのリスクに応じたリターンが期待できるファンドです。

 こちらのタイプで代表的なファンドとしては、「eMAXIS バランス8資産均等(三菱UFJ国際投信)」などが該当します。つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)の対象ファンドにもなっているように、株式ファンドほどのリスクではないものの、ある程度リスクを取りながら増やしていくタイプです。

 また、ラップ型ファンドと言われるような、リスク許容度ごとに複数のファンドが準備されているようなファンドも、こちらのタイプに該当します。

 このため、まとまった資金の運用先として、まずはなるべく減らさずに安定的に増やしていきたい、という場合は「リスク抑制型」を選択いただくのがよいでしょう。

 ただ、このタイプの場合、損失はある程度抑えられる一方で、大きなリターンは見込めないことがポイントです。「いかに下落を防ぐか」といったことが運用目的に据えられているため、しっかりと将来のために増やしていきたいという場合はこちらのタイプでは十分な資産形成ができない可能性があります。バランスファンドも、運用の目的を明確にしたうえで選ぶのがよいでしょう。