少し経験のある方向けなのは、資産分散ポートフォリオ
次に、右側は、少し経験のある方向けの時間分散ポートフォリオです。
自分でタイミングを見て、いろいろ取引することが好きな方、または買いたい商品が決まっていて、あとはタイミングを考えたいという方に向いています。
このポートフォリオは、まずは70%程度、株式ファンドなどの積極資産に投資を行い、残り30%は下がったときの買い増し用に現金で持っておくという形です。運用開始のタイミングの影響を受けやすいため、3割は現金で持っておき、この部分でリスクヘッジをしておくという考え方です。
これはプロの運用の世界でも用いられている手法です。
例えば投資信託などでも、あえてフルインベストメント(ファンドに集まった資金を全額投資対象資産に投じること)をせずに、ある程度投資余力を持たせておくことで、マーケットが下落したタイミングで資産に買いを入れてファンドのパフォーマンスを高めるという方法です。
ただし、マーケットが下がったタイミングに勇気を出して買い入れることができる人はなかなかいないでしょう。
「まだ下がるかもしれない」とタイミング見計らっているうち、結局マーケットが回復してしまい、残りの資金を投資するタイミングを見失ってしまうというケースもよくあります。
このため、後者の時間分散ポートフォリオの場合は、より一歩踏み込んでタイミングを見計らいたいという方向けのポートフォリオといえるでしょう。
退職金での投資デビュー。リスク回避のため、一括投資より積み立ての方がよいですか?
まとまった資金があるなら、「とにかく積み立て」と考えなくても大丈夫です。まとまった資金から、少額ずつ積み立てを行っていると、全額を投資するまでに数年あるいは10年以上かかることになり、その間、多額の現金を寝かせてしまうことになります。
この間にマーケットが上昇傾向でも、資産のほとんどがその恩恵を受けられません。せっかく運用しているつもりでも非常に小さなリターンとなってしまうことになり、必ずしも積み立てが鉄則ではないということです。
積み立ては、あくまでまとまった資金が手元になく、毎月少しずつなら出せるという若い世代の方向けの手段ですので、まとまった資金がある方は先ほどお伝えしたようなポートフォリオで、資産分散や時間分散を行いながら運用していくのがよいでしょう。