株価が値下がりした場合のマイナスの影響は?

 このように、配当金や売却益にかかる税金が非課税となるのがNISAのメリットですが、逆にデメリットもあります。

 それが、損をして売却したとき、その売却損を他の株の売却益や配当金と損益通算したり、繰り越しをすることができず、売却損が切り捨てになってしまうという点です。

 例えば、通常の口座で120万円を投資した結果、株価が20%下落すると、他の株の売却益や配当金との損益通算により24万円×20.315%=4万8,756円の節税効果が見込めます。

 しかしNISA口座で購入した場合は、この節税効果がなくなってしまうのです。

 もし株価が半分になってしまった場合は、60万円×20.315%=12万1,890円の節税効果、倒産などで株価がゼロになってしまった場合は120万円×20.315%=24万3,780円の節税効果を、いずれも受けることができません。

節税効果を踏まえるとインカムゲインよりキャピタルゲイン狙いが有利か

 上で述べた通り、配当利回り4%の株を非課税枠の120万円分購入し、5年間持ち続けたことによる、配当金の節税効果は4万8,755円です。この節税効果は、株価が20%値下がりするとチャラになり、それ以上値下がりすると逆にマイナスの影響を及ぼすことになります。

 ですから筆者は、個人的には配当金の節税目的でNISAを活用するのはあまりメリットを感じないというのが正直なところです。

 一方、売却益については利益が大きくなればなるほど節税効果が高まります。120万円投資して株価が5年間で3倍になれば節税効果は50万円近くになるわけですから、かなり大きいメリットです。

 買った株が値下がりすれば逆にマイナスの影響が生じるわけですが、株価が大きく上昇した場合の税務面でのメリットを考えると、マイナスの影響はそれほど気にしなくてもよいのではと筆者は思います。

 さらに、貸借銘柄(信用取引で空売りができる銘柄)へ投資すれば、株価が値下がりしているときはNISA口座で買った株に対してヘッジする空売りをつけることで、値下がりによるマイナスの影響を大幅に軽減できます。

 以上より、NISA口座で購入するのであれば、インカムゲイン(配当金)狙いよりも、キャピタルゲイン(値上がり益)狙いの方が、より大きなメリットを享受できる可能性が高いというのが結論です。

 今後、NISA口座でどんな株を買うか選ぶときの参考にしてみてください。