「共同富裕」で恩恵を受ける業界と注目の4銘柄

 常々指摘していますが、中国は政治の国であり、経済や市場の動向には政策が深く影響します。端的に言えば、当局が国策として重視する分野は、支援を受けやすいためビジネスとして伸びやすく、政治的には逆に安全である場合が多いのです(もちろん、例外はありますし、断定的に語れるものではありません)。

 その意味で、昨今、“規制ラッシュ”の標的になり、懸念の対象と化しているイノベーション企業も、「共同富裕」に貢献していると認識されれば、いずれ当局に支援・激励されると、私自身は考えています。

 要するに、いろんな分野に手を付けがちな中国企業にとっては、ポジションの取り方、目の付けどころが、かつてないほど重要になるということです。

 あくまでも一例ではありますが、国策として後押しされやすい分野として、本稿では以下の3つを取り上げたいと思います。

政策の分野 具体的な業界
ハイテク 情報技術、製造業、金融
高齢化 養老、医療、保険
グリーン 環境、エネルギー、EV(電気自動車)

 それぞれ具体的に解説します。

「中国製造2025」という産業政策にも反映されるように、ハイテク製造業は中国の国家戦略です。何をするにもハイテクを求める動きが続くでしょう。

「3人っ子政策」に踏み切ったように、中国でも今後、少子高齢化は不可逆的な趨勢(すうせい)です。

 グリーン分野も習氏が最も重視する国家戦略の一つであり、国内経済の持続性、海外へのアピールという意味でも、ぜひとも官民一体で推し進めたい分野のはずです。

「ハイテク」「高齢化」「グリーン」の分野で動く企業やサービスは、当局から背中を押されやすいと見ていいのです。

 私の専門は政策研究、および政策が経済や市場に及ぼす影響を分析することであり、市場における具体的な銘柄に口を挟むべき立場にはありません。その資格も能力もありません。

 ただ最近、銘柄について学び、考える機会があり、複数の信頼できる機関投資家さんの指導を仰いだ経緯もあり、私が注目できると考える銘柄を参考までに列記しておきます。