投資してから5年間は売却益や配当金が非課税になるNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)。でも、税優遇を意識しすぎて投資戦略を変えてしまっていませんか?

最近は税優遇の制度が充実しつつある

 皆さんは、「NISA」をご存じでしょうか。これは、年間120万円までの投資枠につき、その後5年間の売却益や配当金にかかる税金が非課税となる制度です。

 また2018年からは、「つみたてNISA」が始まっていて、こちらは非課税枠こそ年間40万円ですが、最長20年間非課税となるので、最大で800万円まで税優遇の効果を享受することができます。

 さらに年々、個人型確定拠出年金の対象が拡大し、「iDeCo(イデコ)」という愛称とともに、一気に知名度や制度利用が進んでいます。

 このように、最近は、株式投資や資産運用について、税制面での優遇を受けることができる制度が充実してきています。

 本コラムをご覧いただいている方は、個別株への投資をされていることが多いと思います。「つみたてNISA」や「iDeCo」は個別株への投資はできませんので、今回のコラムでは「NISA」を前提にお話を進めていきます。

 なお、2024年からNISA制度は大きく変わることになっています(年間非課税枠120万円→積み立て部分20万円+一般枠102万円の2階建てへなど)が、本コラムでは改正前の現行制度でご説明します。

「NISA」でどのくらい税金がオトクになるのか?

 たとえば、今年100万円で上場株式を買い、毎年2万円の配当金を受け取り、5年後に300万円で売却したとすると、NISAを使った場合と使わない場合とで税金に次のような差が生じます(配当金は株式数比例配分方式、かつ申告不要を選択することとします)。

・NISAを使った場合の税金
 配当金:非課税
 売却益:非課税

・NISAを使わなかった場合の税金
 配当金:2万0,000円×20.315%×5回=2万315円
 売却益:300万円-100万円×20.315%=40万6,300円

 このように、NISAを使わなければ42万6,615円の税金を払わないといけないところ、NISAを使えばゼロになるのです。

メリットだけではない!NISAのデメリットとは

 これだけ見ると、「どう考えてもNISAを使うべき」と思われるはずです。でも、実はNISAにはデメリットもあるのです。それは「売却損が生じても損益通算ができず、切り捨てになってしまう」ということです。

 100万円で買った株を50万円で売ったケースを考えてみましょう。

・NISA以外の口座で買った場合
他の銘柄で利益が出ていればそれと相殺ができますので、最大で100万円-50万円×20.315%=10万1,575円の税金減少効果があります。

・NISAで買った株を売って損失が生じた場合
NISA以外の銘柄の利益と相殺することができず、損失が切り捨てになってしまいます。