今週の予想

日経平均が3万円台にのせるか注目。懸念は米国のインフレ加速

 日経平均株価の月足の陰線と陽線で判断する月間騰落率で見ると、1969年以降、11月の陽線率(株価上昇)は65%と、4月の69%に次ぐ高さです。

 2012年から2020年まで9年連続で11月は陽線となっており、この統計通りなら、今年11月は、11月1日(月)の終値2万9,647円以上の株価で終わる確率が高いということになります。

 10月31日の衆議院議員選挙の結果を受け、11月1日は好スタートを切りましたが、11月第2週(8~12日)で11日(木)に2万9,040円まで下げて下値を確認。その後に反発しており、今週の日経平均は3万円台が期待できるところですが、決算発表がピークを過ぎ、材料難から方向感に乏しい展開となりそうです。

 ここで米国株式が再度上値を試すならば、出遅れ感から買われる可能性があります。原材料高や半導体不足によって業績予測を下方修正する企業がかなり見られたものの、決算を通じて全体の予想EPS(1株当たり利益)は着実に上積みされており、業績相場的な動きとなってもおかしくありません。

 また、ここにきて国内の景況感が上向き、内閣府がまとめた調査によると10月の現状判断指数(DI、季節調査値)は55.5%と7年9カ月ぶりの高水準に改善しています。

 一方で、これまでの日本株式が米株式の上昇には連動せず、下落には連動する動きを考えると先週の米国株式の動きには注意が必要です。

 11月8日まで主要3指数そろって最高値更新の動きの後、NYダウは8日の3万6,565ドルをピークに3日連続安。日足が10月1日の安値から引く下値支持線を割り込んでおり、徐々に調整入りするという見方が出ています。

 11月3日のFOMC(米連邦公開市場委員会)でテーパリング(量的緩和の段階的縮小)を開始し、10月の米CPI(消費者物価指数)は+6.2%と31年ぶりの伸びを記録するなどインフレ懸念を強めています。株価に影響を与え始めている可能性があり、注意が必要です。