マッチング拠出とiDeCoはどちらが有利か

 さて、会社がマッチング拠出を行っている企業型DCの場合、「マッチング拠出か、iDeCoか」という問題が生じます。

拠出限度額の視点

 マッチング拠出にも「会社掛金より少なく設定する」「合計で拠出限度額を超えられない」という制限があるのですが、iDeCoの限度額ルールと異なるので、有利・不利が生じます。

出所:筆者作成

 図のように、会社の掛金額によってiDeCoが有利なケースとマッチング拠出が有利なケース、どちらも同じ枠となるケースに分かれます。

 掛金が少ないほうから順に「iDeCo有利、マッチング拠出有利、どちらも同額」と変化します。

 なお、企業型DC加入者におけるiDeCoの「拠出限度額」がいくらかについては、企業型DCの掛金や会社の制度設計に影響しますので、企業型DCの運営管理機関側がウェブサイトなどで表示することになっています。

商品ラインアップの視点

 運用商品のラインアップで比較検討する視点も考えられます。

 DCは投資信託を中心とした資産運用になりますから、商品の投資対象や運用方針、運用管理費用(信託報酬)が気になります。厳しい競争にさらされているiDeCoの運用商品ラインアップと、10年以上も変更がない企業型DCの商品群を比較すると、企業型DCが明らかに割高ということがあります。

口座管理手数料の視点

 企業型DCは一般的に個人の口座管理手数料は生じません。マッチング拠出も同様です。iDeCoは運営管理機関が無料としても、国民年金基金連合会と信託銀行の費用として月171円が生じます。年2,000円ほどの費用差が生じる点はiDeCoのほうがマイナスです。

口座管理の視点

 当然ながらiDeCoと企業型DCに分ければ2口座の管理が複雑になるという問題が生じます。とはいえ複数の証券口座を保有している人にとってはあまり問題ではないかもしれません。

 マッチング拠出とiDeCo加入を選べるというのは、ある意味ラッキーですから、自分に有利な選択をしたいところです。