為替DI:11月のドル/円、個人投資家の予想は?

楽天証券FXディーリング部 荒地 潤

 楽天DIとは、ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円それぞれの、今後1カ月の相場見通しを指数化したものです。DIがプラスの時は「円安」見通し、マイナスの時は「円高」見通しで、プラス幅(マイナス幅)が大きいほど、円安(円高)見通しが強いことを示しています。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 DIは「強さ」ではなく「多さ」を測ります。DIは円安や円高の「強さ」がどの程度なのかを示しているわけはありません。しかし、アンケートに個人投資家の相場観が正確に反映されているならば、DIの「多さ」は「強さ」に関係することになります。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

「11月のドル/円は、円安、円高のどちらへ動くと予想しますか?」

 楽天証券が先月末に実施した相場アンケート調査によると、個人投資家5,141人のうち52%(2,687人)が、11月のドル/円は「ドル高/円安」に動くと予想しています。先月に比べて円安見通しは13ポイント増えました。

「ドル安/円高」予想は全体の20%(1,004人)で、先月に比べて円高見通しは3ポイント減。28%(1,450人)は、「動かない(わからない)」でした。

円安スパイラル

 10月のFX市場の主役は「円」。

 9月後半に開催されたFOMCで円安スイッチが入ったドル/円は、1カ月近く円安スパイラル状態が続きました。

 ショートをあきらめたストップロスの買い戻しと、ロングが欲しいドル/円の押し目買いが作用し合あって円安がどんどん進み、9月22日から10月20日までの間に109.10円から114.70円まで、5.60円も上昇しました。

 次のターゲットは115円、そして2017年3月高値の115.51円。何度も挑戦しては押し戻されている強力な抵抗ゾーンであり、長期為替ストラクチャーのノックアウト価格も多数観測されています。

 その上は118.61円。2016年11月の米大統領選挙をきっかけに起きた「トランプラリー」のドル高で、2017年1月3日の高値です。

 トランプ大統領在任中の4年間にドル/円がこの高値を超えることは一度もありませんでした。トランプ氏が大統領に就任したのは1月20日なので,トランプラリーは、少なくともドルに関しては、すでに終わっていたことになります。

 将来の相場を予想するときは、相場を現在から過去にさかのぼるのではなく、過去から現在へ時系列で見ることが大切。

 ドル/円は2017年1月3日に118.61円でトップをつけたあと、1カ月のうちに350ポイントも急激に円高に動いています。2016年11月からのドル/円の上昇は急激でしたが、高値をつけたあとの急落もまた激しかった。

 楽天DIで円安見通しが全体の50%を超えたのも同じく、2016年11月の「トランプラリー」の時以来のこと。見通しが一方向に極端に偏った時は、相場終わりの前兆ともいわれています。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 楽天証券が実施した相場アンケート調査によると、個人投資家の35%が11月のユーロ/円は「ユーロ高/円安」に動くと予想。ユーロ高見通しは、先月から10ポイント増えました。

ユーロ安/円高」予想は全体の16%で、先月から5ポイント減。残り49%は「動かない(わからない)」でした。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 楽天証券が実施した相場アンケート調査によると、個人投資家の32%が11月の豪ドル/円は「豪ドル高/円安」に動くと予想。豪ドル高見通しは、先月から10ポイント増えました。

豪ドル安/円高」予想は15%で、先月から6ポイント減。残り53%は「動かない(わからない)」でした。