11月に注目したい新興株の動き

 10月の日本株出遅れ元凶と見られた衆院選ですが、「自民党が単独過半数を確保」という株式市場的にはポジティブな結果。政治の安定という面では、海外投資家が日本株を見直す理由になるかもしれないな、という結果でイベント通過しています。

 もちろん、国内要因だけで動かないのが日本株。選挙が終われば、テーパリング開始が見込まれるFOMC(米連邦公開市場委員会)が警戒されたわけですが…。そのFOMCでは、11月後半からのテーパリングが決定。織り込んできた内容、かつタカ派的なサプライズも無かったことで、株式市場はリスクオン的に反応しました。

 米国では、テーパリング開始は織り込み済みで、来年の利上げに目線が移行していると伝わっています。その利上げのペースが緩やかという想定で米長期金利の上昇も鈍化していますが、「米長期金利の上昇→米グロース株の下落」の組み合わせに、日本のグロース株は激弱体質。今月も引き続き、米金利と米グロース株動向には注意が必要といえそうです。

 ただ、FOMC手前でのテスラ株急騰などを見る限り、テーパリングお構い無し感は相当強いと言えます。好決算の米グロース株や、IPO株が尋常じゃない上がり方をするなど、バブルな香りも漂う勢い。日本の投資家が心配し過ぎと見るか、向こうが楽観過ぎて危険と見るか…本当に難しい状況とも言えそうです。

 さて、11月の日本の新興株。ひとまず、“3カ月に1度恒例の決算発表シーズン”ということで、ここは見極める必要がありそうです。マザーズ銘柄の決算発表は、決算発表シーズンの終盤に集中するのが毎度のパターン。

 今回でいえば、東証1部の主力企業の大半が発表を終えた後、11月8~12日にマザーズだけで約220社、最終日の12日に計128社が予定しています。ここがピーク。直近2四半期は、決算発表ラッシュ通過でマザーズ指数が底入れ(決算発表ラッシュに向けて下落→通過でリバウンド)していますので、警戒ムード(下落)で突入するなら、通過後の後出しジャンケン的逆張り買いエントリーに妙味がありそう。

 やたら盛り上がったグローバルウェイは、10日に決算発表を予定しています。また、10日はJTOWERが発表予定。12日は指数ウエイトの高いフリーや、主力のメドレー、流動性の高いエネチェンジのほか、直近IPOのセーフィーなどが発表を予定しています。

 昨年来の個人投資家急増、信用買い残の増加を見る限り、決算発表に過大な期待(上方修正、株式分割などプラスアルファ要素)を乗せたプレポジションが人気銘柄にはかかっている傾向があります。そのため、現状は“決算発表=ストレス”でしかない…。

 これを通過し、プレポジションの解消が進んだ後、アク抜け感が広がるというシナリオが逆張りなら有効でしょう。また、決算でポジティブサプライズがあった銘柄に対する買い意欲は、近年まれに見るレベルで高いものがあります。順張りなら、決算内容を見て、直後の株価の動きを見てからの後出しジャンケンで十分といえそうです。