10月の新興株<マザーズ、ジャスダック>マーケットまとめ

“岸田ショック”と名付けられたベアラリーが10月初旬まで継続。「誰が売ってるの?」「まだ売るの?」「なぜ売るの?」疑問だらけの下げ方で、日経平均株価が崩壊しました。

 その後の投資主体別売買データでは、外国人投資家の先物売りが主導していたことも判明しましたが、その渦中では「今日こそ底入れしそう」という期待感は醸成されていました。毎日が買い場に見え、日経平均の2倍動くレバETF(上場投資信託)の逆張り買いも加速度的に積み上がりました。

 あまりにハイボラな日経平均に関心が向かい、日経平均を横目に見ながらトレードする(日経平均が上がり始めたら買い、下がり始めたら売り)投資家がこの時期急増したのも特徴でした。構成銘柄、投資家層が違うマザーズ指数も、この時期はやたら日経平均に連動。その日経平均が底入れしたのが6日で、マザーズ指数もほぼ同タイミングでいったん底入れしました。

 10月は米長期金利の上昇を警戒する場面もありましたが、日本の投資家の心配を他所に、圧巻の強さで最高値を再び付けた米国株指数。

 中国恒大集団のデフォルト懸念の後退もあり、中国株市場も落ち着きを取り戻しました。10月月間騰落率はNYダウが+5.8%、ナスダック総合指数も+7.3%と大幅上昇! 香港ハンセン指数も+3.3%とリバウンドしたのに対し、我らが日本株は…。日経平均株価が▲1.9%、TOPIX▲1.4%、新興株市場では日経ジャスダック平均▲1.1%、東証マザーズ指数▲1.8%と全指数がマイナスでした。

 他国と比べたふがいないパフォーマンスの理由には、日本の独自要因が存在するはず。それでいえば10月は、月末に衆院選という政治イベントを控えていたことが挙げられます。

 選挙戦の終盤、メディアが相次いで自民党の苦戦予測を報道。これで選挙直前に売りヘッジをかけたり、買いポジションを減らす雰囲気につながった面もありそうです(衆院選の結果は自民党が絶対安定多数を確保、翌日11月1日はサプライズで日経平均大幅上昇)。

「日本株弱い」が浸透するなか、短期売買を前提にする投資家比率が平常以上に高くなっていた印象がありました。

 株価モメンタムが強い直近IPO(新規公開株)の数銘柄だけに資金が集中したり、動意付いた小型材料株をどこまでも買い上げたり…。決算内容を分析するとか、割安株を探して仕込むとか、銘柄ピックの努力をする投資家がへきえきするような地合いだったようにも思われます。