売買代金ランキング(5銘柄)

1 メルカリ(4385・東証マザーズ)

 前月に時価総額1兆円の大台に乗せたメルカリ。米長期金利の上昇で大型グロース株が軟調な地合いでも、別格の動きで上場来高値を切り上げました。ピークは19日に付けた6,980円。

 おそらく海外投資家が買い主体と見られますが、新サービス拡大で次の成長ステージに入るというカタリストが資金流入の背景にあったと見られます。

 注目されてきたネットショップ開設事業についても、7日にEコマースプラットフォーム「メルカリShops」の本格提供開始が発表され、この日も大幅高で反応していました。

 月後半は利益確定売りに押されましたが、これは29日に発表予定だった第1四半期決算を前にした動きだったように見られます(直前発表のZOZOが急落するなど、高バリュエーション銘柄の決算リアクションが非常に悪かったため)。

 なお、29日に発表した第1四半期決算は、営業利益が前年同期比2.3倍と市場予想を上ブレ。また、東証の新市場区分で「プライム市場」への変更申請に向けた準備を行うとも発表していました。マザーズの大黒柱も、近い将来、マザーズから卒業しそうです。

2 FRONTEO(2158・東証マザーズ)

 マザーズの人気株として定着しそうなFRONTEO。何といっても、材料性が豊富(おそらくマザーズで最も豊富)。その材料も、同社IRが発信するリリースで創出されている点に特徴があります。

 時系列で振り返りますと…1日に同社のAI(人工知能)エンジン「KIBIT」を三菱UFJモルガン・スタンレー証券が導入したと発表。4日には、医学論文を解析し、製薬企業を支援するAIシステムの提供を開始したと発表しました。

 まだ続きます。米破産法訴訟案件の調査において「KIBIT」のレビューツールがプロセスの効率化に成功したと発表(11日)→マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」上での医学論文探索AIの提供開始を発表(19日)→AIツールを「Microsoft Azure」上で提供開始すると発表(25日)→韓国子会社が韓国のITサービス企業と業務提携したと発表(27日)…いずれも買い材料にしながら、株価は上場来高値を更新しました。

 ちなみに、11月も初日の1日から早速リリースを出していました。

3 エネチェンジ(4169・東証マザーズ)

 8~10月まで3カ月連続で月間30%超の上昇率を記録、株価の景色は大きく様変わりしました。10月は、月初いきなり一時ストップ高を付けるなど好発進。9月末、海外のエネルギーベンチャー企業への投資に特化した脱炭素テックファンドを組成すると発表したことが材料になりました。日本ユニシス、東芝エネルギーシステムズも参画し、海外エネルギーベンチャー企業の日本市場参入を支援するとのこと。

 また、月後半は、電力の切り替えサービスを手掛けるオーベラス・ジャパンの全株式取得による子会社化を発表。オーベラス社が不動産業界を主要顧客にしていることから、巨大市場の不動産業界へのサービス提供による自社プラットフォーム価値の向上が期待されているようなのですが…20日に東証が信用規制をかけると発表しています。

 材料は大きな話に見えますが、買ったのは(機関投資家ではなく)信用取引の個人投資家ばかりだった、と解釈できそうです。

4 フェローテック(6890・ジャスダック)

 中国の電力不足の影響など外部環境による業績影響が警戒され、10月初旬に向け株価は想像以上の下落に。年初来高値は9月13日に付けた4,100円でしたが、ここから10月5日安値2,734円まで実に3割以上の下落率となったわけで…今思えば信じられない調整でしたが、5日の安値をボトムに強烈なリバウンドを実現! 下げた分をほぼ全部取り返す勢いで戻しました。

 日本株全体が底入れしたタイミングでリバウンドを始めたのですが、好感されたのは14日の中国における電力不足影響についてのリリースでした。同社によれば、中国の全ての工場で通常通りの稼働となり、二酸化炭素削減目標に対する計画停電の要請も出ていないとのこと。

 これが、中国の電力不足懸念でショートした向きの買い戻しを誘発。そのほか、月の下旬は、一部国内証券の投資判断引き上げ、目標株価大幅引き上げ(3,000円→5,400円)も買い材料視されました。なお、同社の中間決算発表は11月12日予定です。

5 日本電解(5759・東証マザーズ) 

 米テスラ株が7-9月期の好決算、レンタカー大手ハーツによるEV(電気自動車)10万台受注などで急騰!「時価総額1兆ドルクラブ」に仲間入りしたことが話題になり、その余波が日本のテスラ関連銘柄に流れてきました。関連銘柄の筆頭は、米テスラにEV電池を供給するパナソニック…なのですが、テスラ関連銘柄の「次点は日本電解」と株式市場では認識しているようです。

 同社にとって最大の顧客がパナソニックで、車載電池関連の銅箔を提供しています。そのパナソニックはテスラにEV電池を提供していますので、パナソニックに次ぐテスラ関連銘柄は日本電解という理解になっているようです。

 ちなみに同社株といえば、信用買い残がやたら積み上がった個人投資家に人気の銘柄。10月末時点の信用買い残が135万株と、発行済み株数の18%強! 高値更新で需給は好転しましたが、下がり始めると戻り売り圧力に相当悩まされそうな銘柄ともいえます。