共同富裕をいつまでに実現しようとしているのか。習総書記は次のように述べています。

「異なる段階における目標を深く研究しなければならない。段階を踏みながら共同富裕を促進していくのだ。第14次五カ年計画の終わりころ(筆者注:2025年)人民全体が共同富裕に向けて確かな一歩を踏み出し、国民の収入、実質消費水準をめぐる格差を徐々に縮小していく。2035年までに、人民全体の共同富裕は顕著な実質的進展を遂げ、基本的な公共サービスは均等化を実現する。本世紀中ごろ、人民全体の共同富裕は基本的に実現し、国民の収入や実質消費水準をめぐる格差は合理的な幅まで縮小される」

 2025年、2035年、そして「第2の百年目標」である2049年=中華人民共和国建国百周年を節目の時期に据えているのは重要な点です。

 習総書記は「共同富裕を促進するための行動綱要を一刻も早く制定し、科学的かつ実行可能、国情に符合する指標体系と評価方法を提出しなければならない」と、次の一歩に向けた明確な指示を出しています。

 ただ、習総書記の性格や信条がにじみ出ていると思うのが、次の部分です。

「共同富裕というのは長期的な目標であり、プロセスが必要である。一朝一夕にはいかない。その長期性、困難性、複雑性を充分に予測しなければならない。この課題に取り組むに当たり、待つことはできないが、急ぐこともできない。一部の先進国は工業化に数百年取り組んだが、社会制度が原因となり、現在に至っても共同富裕問題は未解決だ、それどころか貧富の格差がますます深刻になっている。我々は忍耐を持たないといけない。実質的に、一つ一つクリアしていき、その過程で実効性を高めるのだ。浙江省共同富裕示範区建設にしっかり取り組み、それぞれの地域に自らの条件に合った有効なやり方で取り組むよう奨励していく。経験を総括し、徐々に広めていくのだ」

 決して急ぐことはしない。2049年を目がけて、これから約30年をかけてじっくり推し進めていくと言っているのです。

 私たちも、共同富裕をめぐる足元の動向や政策に一喜一憂している場合ではありません。習総書記が掲げるこの国家戦略・目標はこれから少なくとも30年続く前提で、忍耐強く付き合っていく必要があるということです。