■関連記事
≫日本版FIRE:夢の早期リタイア実現には、投資より○○が大事なワケ!
≫「FIREできない」は思い込み!日本型FIREは「40歳」にこだわる必要はなし
≫FIRE実行前と後、投資割合はどう変更するべきか?
経済的安定の早期確立、今までの世代になかった発想法
先日、女性誌の取材でFIRE(Financial Independence, Retire Early:経済的自立と早期退職)についてコメントを求められました。メインターゲットは30歳代の独身女性という雑誌の編集部が、FIREについて記事を作ろうと考えるのは、とても興味深いことです。
話はRE(早期リタイア)よりも、FI(経済的独立)を早期に確保することの重要性に集中しました。目の前のクレジットカードの支払いに汲々(きゅうきゅう)としていたり、むしろ赤字の家計をキャッシングでつないでいるような状態から早く脱し、数千万円の資産を持って働くことができるようになれば、これほど自由で気持ちよいことはないのだ、という話です。
私は、FIREムーブメントのもっとも大きな意義は、若い世代が経済的安定を早期に確立することにあると考えています。
これは、おそらく、歴史的に見ても重要な転換点だと思います。私たちの親世代、あるいはそれより昔にさかのぼっても、「経済的安定を若いうちから積極的に確保する資産管理」というのは、ほとんど意識されてこなかったからです。
資本主義社会での庶民は、借金をしてその返済に追われつつ、幸せを買うものだと理解されてきました。クレジットカードの利用に始まり、住宅ローンに至るまで借金が先にありました。先に資産形成をするという観点はなく、むしろそのほうが損だという考え方です。
しかし、今の時代に高金利の借金をすることは賢い選択とはいえません。むしろ、私たちの人生を拘束する重荷となります。イヤな仕事を辞めて、リセットすることすら許されません。「社畜」という言葉がありますが、経済的自由がないからこそ、私たちは働くことをやめられないのです。
そうした中、人生が私たちの想像を超えて長期に及ぶものであることや、終身雇用制度のような安心がもはや薄らいでいることが明らかになり、資産形成の必要性を私たちは強く意識するようになってきました。
そして、ネット証券の拡大や投資信託の利便性の向上、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)やiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)のような制度の整備など、個人が投資を行う環境も整ってきました。
こうした背景も踏まえ、早期から計画的に資産形成を行うムーブメントが生み出されているのではないでしょうか。