FIREのチャレンジが不成功でも、あなたのマネープランは成功する

 その意味では、1億円に近い資産規模を40~50歳代に達成するというFIREのゴールを硬直的にとらえる必要はありません。

 私たちは100万円貯まれば、自分は借金に追われず、資産形成ができるのだという自信がつきます。そしてイヤな仕事(法律違反を犯す企業とか)を拒否して違う会社に移る余裕が確保できます。

 1,000万円貯まれば、自分のキャリアをリセットして再上昇を目指すような「学び直し」もできます。仕事を1年休んで学費を払うこともできるからです。病気やケガ、ストレスへの不安もまとまったお金があれば、和らぎます。

 早期リタイアして働かない期間を長期にわたって作るのは、経済的安心を徐々に拡大していった先にある、究極的なゴールといえるわけです。

 つまり、REがうまくいかなくてもFIが成功できれば、あなたのマネープランとしては、親世代と比べて大成功といえるのです。

FIREチャレンジ1:年長者には相談しないほうがいいかも

 もう一つ、FIRE取材のエピソードを紹介しましょう。

 これは別の媒体の記者と話していたとき聞いた話ですが、FIRE成功者は喜んで取材には応じてくれるものの、自分の素性を明かさない傾向にあるそうです。

 メディアの記者は取材をするとき、本名や写真を使わせてもらうことを求めます。ネットの記事ではペンネームやイラストを使うことはあっても、伝統的な媒体ほど、そうしたことはまれです。

 しかし、記者が記事に本名を載せていいかと聞くと、FIRE成功者の多くが断るのだそうです。「顔バレ」「身バレ」はしたくないというわけですが、その気持ちはよく分かります。ねたまれるリスクもあれば、お金を貸してくれと言われるリスクもあるからです。

 FIREへのチャレンジの段階から、その努力はあまり周囲に話さないほうがいいかもしれません。年長者や近親者が、あなたのがんばりを肯定的に評価し、応援してくれるとは限りません。

 むしろ「そんな早く辞めて後悔するぞ」とか「目の前の楽しいことにもっとお金を使えばいいのに」と邪魔をするかもしれません。

 もしかすると、FIREチャレンジは孤独な冒険になるかもしれません。しかし、あなたの夢をかなえる大きな変革が始まる第一歩です。

 情報源はたくさんあります。ネットのコラム、いくつかの書籍(FIRE本に限らず、ライフプラン、マネープランに関する書籍を読むことをおすすめします)、チャレンジャーのブログなどを参考に、ぜひ経済的安定を早期に確保する取り組みをスタートしてみてください。