「長期投資」の意味

 さて、株価が適正に形成されていれば、株式投資でリスク・プレミアムが得られることを確認したとして、リスク・プレミアムを得るにはどうしたらいいか。

 リスク・プレミアムは時間と共に実現すると期待されるものなので、自分の資金を、株式を通じて資本として経済に参加させながら、リスク・プレミアムの獲得を目指すことが基本的な方法となる。

 もちろん、「ゼロ成長」、「+2%成長」、「−2%成長」といった予測は時間と共に変化しうるので、A、B、Cそれぞれの株価はその都度適正に形成されるとしても、かなり変動するはずだ。「変化を他人よりも上手く予想できる」という前提があるのではない場合、投資家にできる最善の方法は、自分にとって適切な大きさのリスク分だけ株式を保有し続けて、リスク・プレミアムの実現を期待することになる。

 現実の株式投資では、結果的にリスク・プレミアムの実現をもたらす株価の上昇は、なだらかに連続的に起こるよりは、予測できない日に急激かつ大幅に起こることが多い。投資家は、自分の資金を株式に投じた状態で「マーケットに居続ける」以外に、この上昇を手にすることができない。

 もちろん、期待値としての投資収益は、時間と共に拡大すると考えられるので、長期投資を旨としてマーケットに居続けることは合理的だ。