複数コースがあるのはこんな理由

 実質的に同じ運用を行う投資信託で、複数コースが展開される典型的なパターンは以下の二つです。

1)為替ヘッジの有無
2)決算回数(分配頻度)の違い

1)為替ヘッジの有無:基本は「為替ヘッジなし」を選ぶ

 為替ヘッジとは、為替変動の影響を抑えるための「保険」のような機能です。

 円が主要通貨に対して上昇する円高の状態(例:1米ドル100円から90円になる)は、外貨建て資産に投資する、投資信託のリターンを押し下げます。そこで、「為替ヘッジあり」のコースを選んだ場合、将来、交換する為替レートをあらかじめ予約する「為替先物予約」などを通じて、為替ヘッジを行い、円高進行時のリスクを抑えるのです。

 ですが、為替が円安(例:1米ドル100円から110円)に振れたとき、「為替ヘッジあり」を選んでいた場合でも、為替差益によるリターンを見込むことはできません。

 そのため、既に保有している他の資産で為替リスクを取っている、または、金(ゴールド)のように、為替リスクを抑えた方がよい一部の資産を除いては、基本的に「為替ヘッジなし」を選ぶことをおすすめします(金=ゴールドと為替ヘッジの関係について詳しく知りたい方はこちら)。

2)決算回数(分配頻度)の違い:基本は「決算回数が少ない方」を選ぶ

 決算とは、投資信託が組み入れている資産の時価や損益を計算し、財務状況を明らかにすることで、どの投資信託にも最低年1回の決算が義務付けられています。決算の際、運用会社の判断で収益の一部が投資家に還元されることがあり、これを分配金といいます。

 最近は同じシリーズ内で、定期的な分配金の支払いを目的としたタイプ(決算回数年12回)と、分配を抑えて信託財産の成長を優先するタイプ(決算回数年1~2回)の双方を展開するケースが増えています。

 では、どちらを選べばいいのでしょうか。

 公的年金の足しにしたいなど、明確なキャッシュフローのニーズがあるなら、毎月決算型を検討してもよいでしょう。

 しかし、長期の資産形成を目的とするなら、決算回数の少ないファンドを選ぶのが鉄則です。決算回数が多く、分配の頻度が高い投資信託は、運用効率の観点でおすすめできません。