9月の新興株<マザーズ、ジャスダック>マーケットまとめ

 弱かった日本株も8月末から上向くと、9月前半は謎の覚醒モードに突入。日経平均株価が、株価指数として世界最強クラスのパフォーマンスを叩き出し始めます。日本独自のカタリストをもたらしたのが、3日の昼、突然流れた菅総理の退任報道でした。

 株高?株安?、どっちとも受け取れるニュースだったはずですが、初動は株高で反応。新政権への期待感が勝ったようで、この日に日経平均株価は節目の2万8,000円突破。そして7日には3万円の大台をぶち抜き、14日には年初来高値を更新しました。

 8月中旬まで、日本株は香港に次ぐ低パフォーマンスにあえいでいたこともあり、それまでに海外投資家も日本株を大幅売り越して(とくに先物)いました。“新政権期待”、これが、手前の先物売り分を買い戻すトリガーになったようです。

 日本株急騰のなか、大幅買い越しだったのが外国人で、とくに先物(買戻し?)でした。地合い好転でセンチメントが上向き、マザーズなど新興株にもプラスに働きます。

 ただし、海外勢の先物買戻しという需給要素が強い上昇でしたので、その需給要素を受けない新興株市場は東証1部に迫力負け…そんな月前半でした。

 ただ、これも月後半に一変。日本の個人投資家の間でも、ネット中心に不安が拡散していましたが、かなり影響したのが中国不動産大手「中国恒大集団」のデフォルト懸念でした。20日期限の利払いができない見込みと報じられるなか、その20日の日本市場が祝日で休場。

 何かあったら怖いから、連休前にポジションを減らしておこう…そんなムードがどんどん広がり、16日にマザーズ指数は3.6%安に。

 日本は23日も祝日でしたが、前日にFOMC(米連邦公開市場委員会)もあるなど、休み前にリスク軽減でポジション圧縮の動きが起きやすいカレンダーだったことも不運でした。

 また、28日は海運や半導体、これまで上がっていた大型グロース株などがそろって急落。FOMC後の米長期金利上昇によるグロース株売りの地合いはマザーズにも伝播し、この日も大幅安。

 さらに、自民党総裁選の29日、この日はマザーズ上場のIPO(新規上場株式)4社同日上場という過密スケジュールによる資金分散も影響し、月間安値を付けました。

 月間騰落率は、日経平均株価+4.9%、TOPIX(東証株価指数)+3.5%、日経ジャスダック平均+1.1%と、後半急失速ながらもプラスだったのに対し、東証マザーズ指数は▲0.7%。往って来いですが、前月比では少し足が出てしまう格好に。