売買代金ランキング(5銘柄)

1 メルカリ(4385・東証マザーズ) 

 マザーズ指数の9月騰落率が▲0.7%だったのに対して、メルカリの月間騰落率は+13.2%。メルカリのマザーズ指数ウエイトは12%ですので、メルカリの上昇分で9月のマザーズ指数を約1.6%押し上げた計算になります。

 メルカリの影響力は、日経平均におけるファーストリテイリング以上。そして、そのメルカリが15日に上場来高値を更新し、時価総額が1兆円を突破したのは驚きでした。

 日経平均株価が年初来高値を付ける過程で、メルカリもグイグイ上値を切り上げていきました。個人投資家が上値を順張りで買い上がるとは思えず、さらに東証1部と一緒に上がっていたことを思えば、買いの主体は「外国人」で間違いなさそう。

 8月に本決算を発表後、外資系証券が投資判断を最上位に引き上げていました。複数の新サービスで次の成長ステージへ入るとの見方が、外国人の買いカタリストになったようです。

2 HENNGE(4475・東証マザーズ)

 昨年のコロナラリーで大出世したDX関連株でしたが、8月まで大幅調整。それが一転、9月に再評価の動きを強めたのは、海外投資家のHENNGE買い観測が広がったためでした。

 まずは3日、米系の運用会社アーチザン・インベストメンツが、保有目的を「純投資」として発行済み株数の5.84%保有を報告。さらに7日には、米系の運用会社で日本でも有名なキャピタル・リサーチも発行済み株数の6.02%を保有していたと報告しています。

 両社とも取得比率が5%を超え、報告義務が発生したのは8月末時点だったことで、8月の株価3,000円台辺りで拾い集めていたことが想像されます。

 ちなみに米キャピタルは24日、保有比率を7.83%に引き上げたと報告しており、株価5,000円~6,000円の水準でも買い増していた様子。ロングオンリーの海外勢が買う銘柄という安心感が、驚くほどの人気再燃につながりました。

3 BASE(4477・東証マザーズ)

 前月(8月)、月間騰落率▲32%という上場来最低パフォーマンスを記録したBASE。年初来安値圏での低空飛行が続くなか、リバウンドののろし上がるか? と期待されたのが10日の火柱高でした。

 きっかけは、国内証券による投資判断「買い」、目標株価1,830円での新規カバレッジ開始。レポート発行時終値が1,121円だったこともあり、7割弱のアップサイドを示唆する目標株価の高さに関心が向かったようです。

 ただ、レポート手掛かりに10日に23%も急騰したこともあり、あっさり高値警戒感が台頭。月後半は、新型コロナ感染者数の激減で経済正常化期待が広がるなか、地合いは同社のようなビジネスモデルの銘柄(ウィズコロナ株)には逆風に。

 一度上がったあとの調整となり…逆張りの買いで信用買い残を730万株と、前月末の541万株比で大きく膨らませてしまいました(=需給の重石)。

4 ウエストHD(1407・ジャスダック)

 世界的な脱炭素のトレンドに乗るとされ、再生エネルギー関連のテーマ株として人気化してきた銘柄。

 個別材料としては7日、米アマゾンと三菱商事が国内に450カ所以上の太陽光発電所網を構築すると一部で報じられ、その設備開発受託でウエストHDの名前が挙がったことを好感しました。上値を切り上げ、10日に付けた6,380円が現時点の上場来高値です。

 ただ、月後半に急失速。テーマ株としての個人投資家からの人気でプレミアムを乗せていた面が大きく、その反動が株価の逆流という形で目に見えて現れました。きっかけは、29日に予定されていた自民党総裁選で、脱原発を持論とする河野氏が劣勢との見方が広がったこと。

 河野氏立候補も買い材料にしていたため、岸田氏勝利を受けて「岸田関連銘柄買い/河野関連銘柄売り」のリアクションが強めに出ました。

5 日本電解(5759・東証マザーズ)

 IPO直後の強烈上昇で、地味な業態ながらも投資家からの知名度を高めた直近IPO銘柄。9月はトヨタ自動車との関連材料で大きく動意付く場面をつくりました。きっかけは、トヨタ自動車が7日、2030年までに車載電池へ1兆5,000億円を投資すると発表したこと。

 EV(電気自動車)拡大の恩恵を受けそうなEV関連銘柄が物色対象に。その一角として、8日に同社も急騰しました。

 同社は、昨年3月にトヨタと共同で全固体電池を製造するための技術に関する特許を出願していました。

 こちらについても24日付で、「全固体電池の製造方法」に関する特許が特許公報に公開されたことを発表。トヨタのEV開発のニュースとの感応度が強い銘柄として覚えておいて損はなさそうです。