たった10年で資産総額1億円

 そして、2007年8月から本格的な投資をスタートさせた井上氏が総資産額1億円を達成したのは2017年。なんと当初描いていた30年という目標よりも相当に短い期間、たった10年でその可能性を実現させ、億り人となったのだ(ご本人は純資産1億円を超えるまでは「億り人」ではないと否定)。2017年に総資産1億円を達成後も資産は増え続けて、現在は総資産1億5,810万円(2020年8月現在)まで増えている。

井上氏の総(純)資産額推移
2007年 150万円(150万円)
2008年 250万円(250万円)
2009年 380万円(380万円)
2010年 500万円(500万円)
2011年 650万円(650万円)
2012年 800万円(800万円)
2013年 2,600万円(2,600万円)
2014年 2,900万円(2,900万円)
2015年 5,500万円(3,800万円)
2016年 8,800万円(5,700万円)
2017年 1億290万円(6,100万円)
総資産1億円達成
2018年 1億2,300万円(6,600万円)
2019年 1億4,500万円(8,600万円)
2020年 1億5,810万円(9,010万円)2020年8月現在

誰でもできる?資産1億円

 井上氏のように手取り22万円でも、これから可能性を実現し資産1億円の実現を目指す人は、まず何をすべきなのか。

1:はじめの一歩はお金と向き合うこと

「1億円を目指すためというわけではないのですが、資産を増やすためには、まず真剣に自分のお金と向き合うことが必要だと思います」(井上氏)

 どんなに素晴らしいアドバイスを受けたとしても、自分で動かなければ何も始まらない。「自分で動くためには、自分がお金と真剣に向き合い、そこで感じたことを原動力にするしかありません。この数年間、収入はどうなっているか、資産はどうなっているか、収入や資産を増やすために何をしてきて、何をしてこなかったか――これらを本当に真剣に考えて、何をすべきかを自分で見出していくしかないと思います」。

 これができれば、「本業が忙しいサラリーマンでも、投資に抵抗がある専業主婦でも、世界を投資対象にして、時間を味方につけて長期投資をすれば、本当に誰でも1億円を目指せるんじゃないかと思います」と井上氏は力を込める。

2:全力の節約生活で、全力の投資

 とはいえ、1億円に到達するまでの10年の間、井上氏はどのようにモチベーションを保ったのか。言い換えれば、どんな努力をして、どんなふうに苦労を乗り越えたのか。その答えは意外だった。

「僕は投資をしているという感覚よりも、日常生活においては全力で節約生活し、余ったお金を全力で世界経済に預けるということしかしていません。そこに努力や苦労は大してありませんでした」

3:1億円実現に向けて、その過程も楽しむ

 ただ、当初の井上氏の場合でいえば、給料から10万円の積立投資資金を差し引いた残りの約10万円(しかも家賃含む!)で生活することが「楽しい人生」と言えるのかという疑問を持つ人もいるだろう。

「その点に関しては、『人生のやりたいことリスト』というのを作って、少しずつ達成できているので、それがモチベーションになっている部分もあります。1億円という金額を目標にすると同時に、その過程を楽しむという感覚です」(井上氏)

「人生のやりたいことリスト」には、人生をかけてかなえる、すごいことがリストされているのだろうか。ところが「大きい目標だと、なかなか達成できなくて逆にモチベーション低下につながってしまうかもしれません。僕の場合は小さい目標もたくさん設定しています」と井上氏。

 例えば、「1日中漫画喫茶で過ごして、○○さんが人生で一番感動した○○を読む」「自宅にスマートキーを設置してちょっと便利な日常にする」「酸素カプセルに入ってみる」「食べログ4.0以上のお店に半年に1回行く」など。手を伸ばせば届くような小さな幸せを目標にすることで、プチ成功体験を得られるという。