8月の新興株<マザーズ、ジャスダック>マーケットまとめ

 最悪級の悪地合いで突入した8月の新興株市場。強い米国株という後ろ盾はあるものの、「だったら米国株を買えばよくないか?」は日本の投資家の間でも浸透していますしね…。むしろ、深刻だったのがアジア株安(とくに香港株の下落)。

 取引時間帯が重なる日本株はアジア株安との相関が強く出ました。中国ネット企業に対する政府の統制強化が嫌われ、アリババやテンセント、バイドゥなどが大幅調整。アリババを保有するソフトバンクGが安値を切り下げ、猛暑に逆行して個人投資家のセンチメントは冷えっぱなし。

 この状況ではマイナス思考が増幅するのか、デルタ株の感染拡大、FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨によるテーパリング懸念、アフガニスタン情勢への不安、半導体市況のピークアウト懸念、そしてトヨタ減産によるショック連鎖懸念…いろんな角度から飛んできたマイナス的材料を極度にマイナス材料視し、株価の重石にしていたようでもありました。

 そんななかで、下落基調を続けてきたマザーズ市場は、まさに“落ちてくるナイフ”状態に。3カ月前の決算発表シーズンの悪夢をほうふつとさせるように、決算発表に向けて地合いは悪化の一途をたどりました。

 直近IPO(新規公開株)がほぼ全滅、決算発表銘柄もほぼ下落(決算悪いと急落、良くても難癖付けられ急落する銘柄多発)。また、今回の決算発表シーズンは、“炭鉱のカナリア”的に海運株が大フィーバー。郵船と商船三井の大掛かりな増配に関心が向かったことも、増配とは無縁のマザーズ銘柄には逆風で…。

 安値銘柄が続出する状態で、一挙200社超を消化した8月第2週の決算発表ピークを通過。16日にはマザーズ銘柄だけで10%超の下落率銘柄が26も出てくる惨状となり、翌17日にマザーズ指数は節目の1,000ポイント割れ。

「もうダメか」と落胆ムードが広がった辺りで、静かに底入れしました。需給で壊れた相場ですので、需給でしか修復できない…ということでいえば、株価下落によって売らざるを得なくなった買いポジションの整理は、銘柄ごとに進んでいたということでしょう。

 売りが少なくなるなか、薄商いの中でリバウンドする銘柄が多く生まれました。壊滅状態だった直近IPO銘柄も復活モードに。一時、前月比で8%強の下落率となっていたマザーズ指数は、安値を付けた17日から月末にかけて14%以上のリバウンドに成功。

 月間騰落率は、日経平均株価+3.0%、TOPIX(東証株価指数)+3.1%、日経ジャスダック平均+0.5%に対して、東証マザーズ指数は+4.6%と大ドンデン返しの8月相場でした。