売買代金ランキング(5銘柄)

1 メルカリ(4385・東証マザーズ)

 マザーズ界の“ユニクロ”(指数ウエイト的に)の急落が、8月にマザーズ指数が年初来安値を付ける元凶となりました。

 日経平均におけるファーストリテイリングの指数ウエイトは9%台ですが、マザーズ指数におけるメルカリのウエイトは約12%。そのメルカリが大きく下落したのも、決算発表がきっかけでした。

 12日の引け後、2021年6月期の本決算を発表。前期実績は57億円の最終黒字(前期は227億円の赤字)で、上場来で初の通期黒字決算に。ただ、これは事前の上方修正で織り込み済み。

 注目はガイダンスですが、2022年6月期の見通しは「未定」でした。意外だったのが、決算を受けた株価反応。翌13日は上昇で始まり、上場来高値を試そうとした矢先、強烈な売りで反転…13日の始値6,280円から、18日の安値4,990円まで約2割の急落に。

 これだけで、マザーズ指数を2%以上、押し下げた計算になります。その後、外資系証券の投資判断引き上げなどで持ち直しましたが、マザーズ界の“ユニクロ”の影響力の大きさを改めて考えさせられる8月相場に。

2 プロルート丸光(8256・ジャスダック)

 前月からコロナ関連の材料で盛り上がっていましたが、それでも前月末の売買代金は16億円程度。それが、8月は25日移動平均売買代金で57億円まで膨らみランクイン。小型の低位株に材料が付くと、ここまで盛り上がるのか? という驚きの展開でした。

 7月に急騰したきっかけは、同社が子会社化を予定していたマイクロブラッドサイエンスが、新型コロナウイルス治療薬の開発で変異株に対応できる有望な結果を示したというリリースでした。

 8月も続報として16日の前引け後、マイクロブラッドサイエンスの開発するコロナ治療薬が創薬の段階に進むと発表。翌17日に付けた高値730円まで水準を切り上げました。

 なお、24日の引け後、筆頭株主が持ち株を市場内とPTSで売却したと発表。「まあ、売りますよね…」的な顛末でひと相場終了?

3 BASE(4477・東証マザーズ)

 前月に上場来で最大の下落率(▲32%)を記録したBASEは、8月も下値を切り下げ、年初来安値は(マザーズ指数底入れ翌日の)18日に付けた968円でした。

 マザーズ株の底入れと合わせてリバウンドに転じ、月間ではかろうじてプラスに。信用買い残を積み上げていたこともあり、最悪なマザーズ需給の象徴のような存在でした。

 警戒されてきた5日の決算発表ですが、今上期は最終損益が2.46億円の赤字に転落。赤字転落を嫌った面もありそうですが、ポジティブサプライズ要素が無い限りはシビアな株価反応が続出する悪地合い。

 また、メルカリが新規事業としてEC支援への本格参入を打ち出すなど、競争激化の連想も嫌われました。なお、決算発表からしばらくし、一部外資系証券では同社の投資判断を「ニュートラル」から最上位の「アウトパフォーム」に引上げています。

 ショップあたり月間流通総額の底入れが確認できている点などを前向きに見るべき点もあるようです。

4 フェローテック(6890・ジャスダック)

 ジャスダックの老舗銘柄が、決算サプライズで堅調な値動きに。同社は13日、第1四半期決算を発表。

 第1四半期の営業利益が前年同期比3倍になり、同時に通期の営業利益予想を前期比2倍の200億円(従来予想は150億円)に大幅増額しました。配当も、従来の年間配当1株30円から46円へと大幅に積み増し。

 半導体市況も好調で、製造装置向けの真空部品、石英・セラミックスなどの販売が伸びたようです。

 修正後の1株当たり利益は535円ですので、予想PER(株価収益率)は6倍程度。バリュエーション指標でかなり割安感がありますし、27日には一部国内証券が目標株価を4,200円から5,000円に引上げていました。業績好調で、株主還元のさらなる強化に期待できると。

5 すららネット(3998・東証マザーズ)

 昨年のコロナラリー時に人気化しましたが、8月下旬にひさびさ脚光を浴びる場面。そのきっかけが、世界的な新型コロナウイルス感染の再拡大。デルタ株の感染が国内外で広がりましたが、デルタ株は子どもの感染も増加。

 9月の夏休み明けの学校再開が近づくなか、臨時休校などの対応で夏休み延長が広がるのではないか? という不安が広がりました。

 この話題をメディアも多く取り上げたことで、オンライン教育関連株の代表格として人気が再燃。そこに燃料を投下するように23日、今期業績予想の上方修正も発表されました。27日には終日の売買代金で329億円という、時価総額の2倍規模となる大商いも記録。

 これは、上場来でも1日の売買代金としては最大でした。物色意欲が高いことはいいことですが、とはいえ毎度のことですが、極端過ぎるほどにやり過ぎで…。