楽観シナリオ:日本株が今後上昇し続けると仮定した上での楽観的解釈

 日本株が売られる原因となった3つの不安ですが、今後起こることについて、悲観的な見方も、楽観的な見方も可能です。もし楽観的に解釈するならば、以下のような展開も考えられます。以下は予想ではなく、あくまでも仮定の話です。

【1】政治の不安 → 衆院選通過で不透明材料がなくなり安心感が広がる

 衆院選で自民党は議席を減らすが大敗とはならず、菅改造内閣または別の新総裁による内閣がスタートする。新内閣への期待で支持率が回復する。さらに、新内閣がコロナ対策で大規模景気対策を発表し、株式市場に好感される。

【2】 経済の不安 → 日本に遅れてワクチン効果。米景気は巡航速度の成長続く

 日本ではワクチン効果で60代以上の感染が減少している。40~50代、20~30代のワクチン接種が進むと感染がピークアウトして、経済が正常化に向かう。すると日本にも、米国と同じような消費爆発(コロナ禍で抑えられていた消費の急増)が起こる。

 米国は消費爆発が一巡するが、景気失速とはならない。バイデン政権が公共投資を実施することもあり、来年も巡航速度での景気拡大が続く。

【3】テーパリング → 実施されるが利上げはなく、ゼロ金利が長期化する

 株式市場が一番恐れているのは、量的金融緩和の終了(テーパリング)ではなく、金融引き締め(利上げ)である。テーパリングが実施されれば、その先に利上げが見えてくることが懸念されている。ただ、来年2022年になれば、資源価格の上昇も一巡し、世界的なインフレ懸念は沈静化する。米国はテーパリングを実施するが、ゼロ金利は維持するので、株式市場を崩す要因とはならない。

 以上が、仮定の話として書いた「楽観シナリオ」です。ここに書いたのは、やや楽観的過ぎるかもしれません。現実には、先に書いた悲観シナリオと、ここに書いた楽観シナリオの中間になるのだと思います。悲観に傾いて売られてきた日本株は買い場と考えています。