これが「最後の雇用統計」

 米国でコロナウイルスワクチンの接種が本格化する前、米経済再開の見通しがまったく不透明なときに、FRB(米連邦準備制度理事会)は、FOMC(米連邦公開市場委員会)において、政策のフォワードガイダンスに関して重要な変更を行いました。2020年12月のことです。

 FOMCは、政策のフォワードガイダンスを、従来の「今後数カ月」といったような、期間を定めた定量的なガイダンスから、最大雇用と物価安定の目標達成に向け「一段の著しい進展があるまで」という、数字では表せない定性的なガイダンスへと修正しました。

 米国の雇用市場では、コロナ禍によって、2020年3月と4月のたった2カ月の間に2,200万人もの雇用が失われました。しかし、その後はでこぼこがあったものの着実に回復を続け、2021年7月までに1,670万人が仕事を再び見つけることができています。FRBが目指す、コロナ流行前の2020年2月の水準まであと570万人足りないところまで来ています。

 雇用者増加の直近3カ月間平均は82万人。このペースが維持できるなら、来年1月には完全雇用が達成可能となります。FRBのタカ派は「米経済の著しい進展」の証拠がそろったとして、緩和政策の即時終了を主張している。一方ハト派は、雇用の回復はまだ道半ばというスタンスで、緩和政策がまだ必要だというスタンス。今回が、9月のFOMC前に発表される最後の雇用統計になります。