復活株への投資をあまり積極的にお勧めしない理由

 コロナ禍における復活株とは、言うまでもなく新型コロナウイルスの影響をもろに受けることにより、業績が急激に悪化して赤字に転落したような銘柄です。

 コロナ禍の状況から世の中が通常モードに戻ることにより、赤字を余儀なくされた銘柄の業績も回復し、株価もコロナ前の水準に戻ることが期待されています。

 ただ、筆者は復活株への投資をあまり積極的にはお勧めしません。その理由は二つあります。

 一つは、復活株の株価の上値余地はそれほど大きくないケースが多いという点です。

 例えば、復活株候補として考えられる航空株や鉄道株、飲食・レジャー関連株の中には、株価がコロナ前の半値程度という水準の銘柄が多いのです。こうした銘柄の株価がコロナ前に戻るということは、株価が今の水準の2倍程度に上昇するのを期待することになります。

 しかし、例えば成長株であれば、数年で株価が何倍にも上昇するケースはよくありますし、現に2020年3月のコロナ・ショック後の上昇局面では、復活株の株価上昇は限定的だった半面、株価が3倍、5倍に駆け上がった成長株も決して珍しくありません。株価の大きな上昇が期待しにくい復活株をあえて選択しなくてもよいのではないかと思います。

 もう一つは、復活株が「復活しない」可能性もあるという点です。つまり倒産リスクです。

 復活株として株価が元の水準にまで上昇するためには、足元の赤字の状況から、黒字転換する必要があります。でも、コロナ禍の環境はすでに1年半も続いているにもかかわらず、依然として出口は見えない状態です。

 もし、新型コロナウイルスによる業績への悪影響がさらに続けば、業績が回復して株価が上昇するどころか、会社そのものが倒産し、株が無価値になってしまう可能性だってあるのです。

上場来高値を更新しているのはほぼ成長株

 つまり、復活株と成長株を比べると、復活株の方がそれほど大きな株価上昇が期待できない半面、倒産リスクは高いのです。

 これならば、業績悪化等によって株価が大きく下落するリスクはあるものの、何倍にも上昇する可能性も高い成長株へ投資した方が、投資妙味があるのではないでしょうか。

 実際、足元で上場来高値を更新して株価の上昇が続いている銘柄も意外と多いですが、それらはほとんどが成長株です。

 株価が下落した際に適切なタイミングで売却・損切りをすることができるのであれば、個人投資家がより大きな利益を目指して資産形成をするためには成長株の方が向いているというのが筆者の考えですし、筆者自身も成長株を投資の中心に据えています。