銘柄選びは「どのカテゴリー」から選ぶかをまず決めることから

 銘柄選びに悩んでいる個人投資家の方は非常に多いようです。そこで先週に引き続き、今回も銘柄選びのヒントについてお伝えしていきます。

≫関連記事:株投資で大損しやすいのはこの3銘柄!損失を出さない株選びのポイントは?

 皆さんは、銘柄選びをどのような観点で行っているでしょうか。もし、自分で銘柄選びをせず、他人が言う「オススメ銘柄」を買っているようであれば、注意が必要です。なぜなら、そのオススメ銘柄がどういったカテゴリーに属しているか意識せず、買っているからです。

なぜカテゴリーに注目すべきなのか

 実は銘柄選びで大事なことは、まずご自身が「どのカテゴリーに属する銘柄を選ぶか」を意識する必要があります。これは、銘柄が属するカテゴリーによって、株選びで注目するべき点が異なるからです。

 例えば、成長株であれば売り上げや利益が増加しているかどうかがポイントとなりますし、割安株であればPER(株価収益率)などの株価指標に注目します。復活株のチェックポイントは足元の業績が悪化しているかどうか、株価が大きく下落しているか、そして将来的に株価回復の見込みがあるかです。

大きく分けるとカテゴリーは5つ

 筆者は、個別銘柄を大きく5つのカテゴリーに分類しています。

1:成長株

 売り上げや利益といった業績が年々伸びており、今後も伸びると期待されている銘柄

2:割安株

 PER、PBR(株価純資産倍率)、配当利回りなどの各種指標から見て株価が割安に放置されていると思われる銘柄

3:景気敏感株

 国内外の景気の変動に伴い、業績も大きく変動するような銘柄

4:復活株

 赤字続きや大赤字の状況から黒字転換するような銘柄

5:テーマ株

 マーケットのその時々の注目テーマに関連する銘柄

 このうち、筆者が最も注力しているカテゴリーが「成長株」です。

 もちろん、どのカテゴリーの株を買うかどうかはご自身で決めればよく、これが正解というものはありません。

 ただ、足元のコロナ禍において、無意識に「復活株」を選択している個人投資家が少なくないように感じます。おそらく、「早晩コロナ禍は収束するだろうから、そうなればコロナ前の水準にまで株価は戻るだろう」と、将来的な株価上昇がイメージしやすいからだと思います。

復活株への投資をあまり積極的にお勧めしない理由

 コロナ禍における復活株とは、言うまでもなく新型コロナウイルスの影響をもろに受けることにより、業績が急激に悪化して赤字に転落したような銘柄です。

 コロナ禍の状況から世の中が通常モードに戻ることにより、赤字を余儀なくされた銘柄の業績も回復し、株価もコロナ前の水準に戻ることが期待されています。

 ただ、筆者は復活株への投資をあまり積極的にはお勧めしません。その理由は二つあります。

 一つは、復活株の株価の上値余地はそれほど大きくないケースが多いという点です。

 例えば、復活株候補として考えられる航空株や鉄道株、飲食・レジャー関連株の中には、株価がコロナ前の半値程度という水準の銘柄が多いのです。こうした銘柄の株価がコロナ前に戻るということは、株価が今の水準の2倍程度に上昇するのを期待することになります。

 しかし、例えば成長株であれば、数年で株価が何倍にも上昇するケースはよくありますし、現に2020年3月のコロナ・ショック後の上昇局面では、復活株の株価上昇は限定的だった半面、株価が3倍、5倍に駆け上がった成長株も決して珍しくありません。株価の大きな上昇が期待しにくい復活株をあえて選択しなくてもよいのではないかと思います。

 もう一つは、復活株が「復活しない」可能性もあるという点です。つまり倒産リスクです。

 復活株として株価が元の水準にまで上昇するためには、足元の赤字の状況から、黒字転換する必要があります。でも、コロナ禍の環境はすでに1年半も続いているにもかかわらず、依然として出口は見えない状態です。

 もし、新型コロナウイルスによる業績への悪影響がさらに続けば、業績が回復して株価が上昇するどころか、会社そのものが倒産し、株が無価値になってしまう可能性だってあるのです。

上場来高値を更新しているのはほぼ成長株

 つまり、復活株と成長株を比べると、復活株の方がそれほど大きな株価上昇が期待できない半面、倒産リスクは高いのです。

 これならば、業績悪化等によって株価が大きく下落するリスクはあるものの、何倍にも上昇する可能性も高い成長株へ投資した方が、投資妙味があるのではないでしょうか。

 実際、足元で上場来高値を更新して株価の上昇が続いている銘柄も意外と多いですが、それらはほとんどが成長株です。

 株価が下落した際に適切なタイミングで売却・損切りをすることができるのであれば、個人投資家がより大きな利益を目指して資産形成をするためには成長株の方が向いているというのが筆者の考えですし、筆者自身も成長株を投資の中心に据えています。