米景気指標への注目高まる。まずは雇用統計!

 米景気は、過熱することなく失速することなく「ほど良く減速」するとの見方が、米株高を支えています。その見方で良いのか、9月に発表される8月の米景気指標への注目が高まります。

【1】9月3日:8月米雇用統計

 注目がさらに高まったのが、米雇用統計です。というのは、米FRBは金融政策を決定するにあたり、雇用統計を最も重視しているからです。米景気が好調でインフレリスクが高まっているにも関わらず、テーパリングの早期実施がなかったのは、雇用回復が遅れているからです。

 7月には、非農業部門の雇用者数は前月比94万3,000人増加し、失業率が5.7%まで低下。ただし、コロナ前2020年2月の3.5%と比べると、まだ高い水準です。コロナ対策の失業給付が終了することで労働者が職場復帰しつつあることから、8月の回復が加速するか注目されています。

米雇用統計・非農業部門雇用者増加数(前月比):2019年1月~2021年7月

出所:米労働省

米雇用統計・完全失業率:2014年1月~2021年7月

出所:米労働省

【2】9月1日・3日発表予定:ISM景況指数も注目度高い

 9月1日発表予定のISM製造業・景況指数、9月3日発表予定の同非製造業・景況指数にも注目が高まっています。7月には、非製造業の景況指数が64.1とコロナ前を上回る活況となっていたことが注目されました。

米ISM製造業・非製造業景況指数:2018年1月~2021年7月

出所:米ISM供給管理公社

【3】9月14日:米インフレ率(消費者物価指数・前年比%)

 消費者物価指数(総合)の前年比が6月・7月に前年比+5.4%まで上がっていることが、テーパリングが必要という議論につながっています。パウエルFRB議長は、高いインフレは一時的と解釈していますが、果たして本当にそうか今後の推移に注意が必要です。

米消費者物価指数、前年比(%):2020年1月~2021年7月

出所:ブルームバーグより作成

【4】9月16日発表予定:8月の米小売売上高

 7月が前月比1.1%減だったことから、コロナからの消費回復の勢いが落ちてきていると見られました。8月の数字も弱いと、消費爆発が一巡したと見られることになります。