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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
[動画で解説]米国株・最高値 コロナで減速好感 日本株は割安でも買われない?
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米国株最高値でも、日経平均は上値重い

 先週(8月23~27日)の日経平均株価は、1週間で628円上昇して2万7,641円となりました。米国株高が続く中、リバウンドしたものの上値は重いままです。

 一方、米国株は、27日にジャクソンホールで行われたパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の講演内容を好感して、ナスダック総合指数とS&P500指数が、史上最高値をつけました。

 事前の市場コンセンサスでは、講演でパウエル議長が9月FOMC(連邦公開市場委員会)でのテーパリング(金融緩和の縮小)決定を示唆すると思われていましたが、その示唆がなかったことから株式市場に安心感が広がりました。

 年内にテーパリングを開始することが適当との見方を継続しましたが、時期は明言しませんでした。足元のコロナ感染再拡大を受けて、景気が減速する可能性に注意を払う姿勢を示したことが好感された格好です。コロナ再拡大がテーパリングに慎重な姿勢を招き、それが株式市場にとってポジティブな内容となりました。

ナスダック・S&P500と日経平均の動き比較:2019年末~2021年8月27日

出所:2019年末の値を100として指数化、QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 コロナ変異型(デルタ型)の感染が日本および米国で拡大している影響が、日本株と米国株で異なる形であらわれました。

 日本では、内需回復がさらに遅れる懸念が強まったことが、日経平均の上値を抑える要因となりました。一方、米国株では米景気過熱リスクが低下し、ほど良い減速の中でテーパリングがすぐにも決定される懸念が後退したと捉えられ、株高につながりました。