【3】2020年 暴落とバブルの「コロナ相場」

 さて、2020年になって、世界は新型コロナウイルスの感染症に振り回されることになった。

 株式市場への影響も大きく、ややバブル的な高株価を保っていた米国株も3月にかけて、これまでに見たことがないようなスピードで急落し、日本の株価もひとたまりもなくこれに追随した。

 そして、その後に、先進各国が大規模な金融緩和に加えて、財政的な後押しもすることで、潤沢なマネーが資産市場に流れ込んで、些かバブル的な株価の戻りと、引き続いての高値の更新が現れた。

 我が国では、この株価の急落局面の前後に、「株価が下がった今が投資をはじめるチャンスだ」と思った個人が多くいて、若い世代も含めて、主に投資信託の積立投資の口座開設が急増した。

 前年までの老後資金に対する関心の高まりはあっても、株価が高いと感じて投資を始められなかった向きが、「今買えば、去年買うよりも安く買える」という有利感を抱いて投資を開始した。

 その後の内外の株価の推移は順調なので、3月に底をつけたコロナ・ショックの前後に投資を始めた向きは、今、小さいながら投資の成功体験を持つ人が多いはずだ。

 おそらくは、金融緩和の縮小に伴って生じるはずの、次の米株の調整の時期を上手く乗り切ることが重要だが(上げ相場にも、下げ相場にも、とことん付き合う心構えで、長期積立投資をするのがいい)、多くの投資家が悪くないスタートを切ったと思う。