テーパリングの議論が盛んになっても金価格は上昇する可能性がある

 金(ゴールド)市場には、少なくとも6つのテーマが存在すると筆者は考えています。金市場では、各々のテーマ起因の影響力が相殺されながら、連続的に価格が決まっているわけです。

 6つのテーマとは、「有事のムード(資金の逃避先需要)」、「代替通貨(ドルの代わり)」、「代替資産(株の代わり)」、「中国・インドの宝飾需要」、「中央銀行の保有」、そして「鉱山会社の動向」です。

 テーパリングの議論は、「代替通貨」における、金市場に下落圧力をかける材料です。FRBの資産買い入れ額が減少 → 社会に放出される資金の量が減少 → ドルの価値が希薄化する懸念が低下 → ドルを保有する動機が強まる → 金(ゴールド)のドルに対する保有妙味が低下、という連想が働くためです。

 テーパリングの議論が本格化するまでは、この逆の連想が働き、金相場は上値を追いやすい環境にありました。しかし今は、テーパリングの議論が本格化したため、複数のメディアや専門家が、上記のような連想を根拠に金相場が下落する可能性を指摘しています。

 しかし、足元、テーパリングの議論が本格化しても、金相場は反発しています。なぜなのでしょうか? それは、「可愛さ余って憎さ100倍」となった、世界各地で同時に発生している負のエネルギーが束になり、巨大な「有事のムード」を醸成し、資金の逃避先需要を増幅しているためだと、筆者はみています。

図:金市場における6つのテーマ(イメージ)

出所:筆者作成

 不確定要素は多々あるものの、「有事のムード」が拡大し、テーパリングによる「代替通貨」起因の下落圧力を相殺して余りある上昇圧力が巻き起これば、短期的には、ドル建てで1,900ドル/トロイオンス、円建てで6,800円/グラムに到達する可能性はあると、筆者は考えています。

図:NY金先物価格の推移 単位:ドル/トロイオンス

出所:筆者作成

 材料を俯瞰すること、そして複数のリスクを直視すること。この2つの動作を深めるとき、テーパリングでも金(ゴールド)相場が上昇する可能性が浮かび上がります。本レポートが、みなさまのお役に立てば、幸いです。

 [参考]貴金属関連の具体的な投資商品例

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純金積立

金(プラチナ、銀もあり)

国内ETF/ETN

1326 SPDRゴールド・シェア
1328 金価格連動型上場投資信託
1540 純金上場信託(現物国内保管型)
2036 NEXT NOTES 日経・TOCOM金ダブル・ブルETN
2037 NEXT NOTES 日経・TOCOM金ベアETN

海外ETF

GLDM SPDRゴールド・ミニシェアーズ・トラスト
IAU iシェアーズ・ゴールド・トラスト
GDX ヴァンエック・ベクトル・金鉱株ETF

投資信託

ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)
三菱UFJ純金ファンド

外国株

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AU AngloGold:アングロゴールド・アシャンティ
AEM Agnico Eagle Mines:アグニコ・イーグル・マインズ
FNV フランコ・ネバダ
GFI Gold Fields:ゴールド・フィールズ

国内商品先物

金・金ミニ・金スポット・白金・白金ミニ・白金スポット・銀・パラジウム

海外商品先物

金、ミニ金、マイクロ金(銀、ミニ銀もあり)

商品CFD(金・銀)