積み上げてきた事態改善に向けた「正のエネルギー」が、各所で吹き飛ぶ

 米国が20年の歳月をかけて、2,000名を超える米兵の尊い命と2兆ドルという莫大(ばくだい)な資金と引き換えに築き上げてきたアフガニスタン(以下、アフガン)の和平への道は、このたった1カ月で閉ざされました。

 そして、世界の景気回復をリードすると期待された中国では、足元、規制強化や教育問題など、景気回復を阻害する要素が続出しています。同時に、足元、他の主要国と同様、デルタ株の拡大に頭を悩ませています。

 また、米国の金融緩和は昨年春から本格化し、株価指数、コモディティ(商品)、暗号資産など、幅広い市場を一様に「かさ上げ」してきましたが、足元では、テーパリング(段階的な金融引締め)の議論が強まっています。このことで、逆に米国の金融政策は、これまでかさ上げされてきた市場の足かせになっています。

 さらに、人類は今まさに、ワクチンという武器を手に、コロナとの戦いに挑んでいますが、デルタ株の感染拡大を前に、いまだ劣勢に立たされています。昨年11月にワクチンを手に入れ、歓喜に沸きましたが、今はそのムードはみじんもありません。

「良くなりそう」。さまざまな事象が改善に向かう際に発生する「正のエネルギー」が各所で積み上がっていましたが、アフガンでも中国でも米国でも、そしてコロナにおいても、こうしたエネルギーはこの数カ月間のうちに、一気に吹き飛んでしまいました。

図:事態の悪化が目立ち、リスクが拡大している

出所:筆者作成