「可愛さ余って憎さ100倍」。逆転で生じた「負のエネルギー」は膨大に

 リスク拡大が進行し、各所で積み上がっていた「正のエネルギー」が吹き飛んだ例を挙げました。こうした場面で想起されるのは、「可愛さ余って憎さ100倍」という言葉です。

 可愛いという気持ちが大きければ大きいだけ、何かの拍子でいったん憎しみが沸いた時、その憎しみは甚大なものになる、という意味です。

 アフガンでは和平への道ができつつあった、中国は昨年、世界的なコロナからの回復を先導する期待の国だった、金融緩和は各種市場が安定的に上値を切り上げ続けるムードを醸成した、ワクチンがコロナ撲滅を強く期待させた…。振り返れば数カ月前まで、世界は「正のエネルギー」で満ち溢れていたわけです。

 しかし、今はどうでしょうか。アフガンでも中国でも米国でもコロナの分野でも、エネルギーは正から負に転じました。例えて言えば、世界のさまざまなところで「可愛さ」が「憎しみ」へと転じるケースが、発生したわけです。

 可愛さから転じた「憎しみ」が甚大なものになるのであれば、世界のさまざまなところでリスクを振りまく「負のエネルギー」は膨大な規模になり、そしてさらに、それらが束になる可能性があります。このことは、世界規模の「有事のムード」の拡大に他なりません。

図:エネルギーの方向性が逆転

出所:筆者作成