テーパリングのタカ派発言

 最近、FRB(米連邦準備制度理事会)高官から、テーパリングについてタカ派発言が相次いで出てきています。8月2日、ウォーラー理事は、雇用次第で9月までにテーパリング発表もあり得ると述べ、テーパリングは10月にも開始され、5~6カ月程度で完了する可能性があると発言しています。

 また、これまでパウエル議長に歩調を合わせていたクラリダ副議長は、8月4日、テーパリングについては年内に発表し、2023年には利上げを開始すると、ややタカ派的な見通しを示しました。

 これらの発言は、8月6日の米雇用統計発表前の発言ですので、6日の良好な雇用統計を受けてFRB内がよりタカ派になってきているかもしれません。

 8月26~28日のジャクソンホール会合でのパウエル議長の講演について、ますます注目度が高まってきます。ジャクソンホール会合でパウエル議長がこれまでのトーンを変えてややタカ派になれば、ドル/円の円高へのレンジブレークも失敗するかもしれないため、注意が必要です。

 テーパリングについては、開始時期も注目ですが、テーパリングが実行される期間も注目され始めています。2014年のテーパリングの時は10カ月かけて実行していますが、この期間よりも長くなるのか短くなるのか注目度が高まってきています。

 先程のウォーラー理事は、テーパリングは5~6カ月程度で完了する可能性があると発言しています。もし、期間が前回よりも短くなれば、利上げも早まるのではないかとの思惑から、金利は上昇し、ドル高となります。

 また、パウエル議長が任期終了前の期間も含めたテーパリングの道筋をジャクソンホールで示すのではないかという期待も高まっています。

 しかし、一方で、シンポジウムのテーマは「不均一な経済におけるマクロ経済政策」であるため、格差是正のための金融政策が議論の中心であり、テーパリングには触れても具体的な内容には触れない可能性もあるため、肩透かしにも注意する必要があります。