日本の国力、今後どうなる?米国、中国、その他主要国との比較

 先述の通り、運用の最も根本的な意義は「自分」の将来を充実させることでしょう。その意味では、運用上の自分と家族の両立は、程度の問題だと言えます。

 例えば全運用資金の8割を自分のため、2割を家族のため、といったように、運用する本人が物理的な充足と精神的な安定のバランスをどうとりたいかによって、配分する割合はいかようにも変わるわけです。

 ここからは、子供のための運用が必要である理由について述べていきます。「自分のことは自分で面倒をみるべきだ」「なぜ親が子供のために運用をする必要があるのか?」「日本はこの先も不安が生じない堅牢な先進国なのではないか?」などの考えもあると思います。

 人の親として、筆者もそう思う節もあります。とはいえ、現実的にはそうも言えない状況になりつつあることが、日本が置かれている状況から感じ取れます。

 まずは、国家の経済力の目安とされるGDP(国内総生産:gross domestic product)を確認します。

図:主要国のGDP(名目)

出所:IMF(International Monetary Fund)のデータより筆者作成

 主要国の間で2極化が進んでいることが分かります。米国と中国は勢いを伴って上昇しています。また、IMF(国際通貨基金:International Monetary Fund)は、米国と中国の差が、今後さらに縮まることを予想しています。

 一方で日本は、1990年代前半に米国に肉薄こそしたものの、その後は横ばいで推移しています。現在はドイツとほぼ同じ規模です。米国に追いつけなかった、中国に大きく後れを取った、などが日本のこの30年間の振り返りと言えます。

 以下は、豊かさの目安とされる一人あたりのGDPです。

図:主要国の一人あたりのGDP(名目) 単位:米ドル

出所:IMFのデータより筆者作成

 GDPと同様、日本は1990年代前半に突出した上昇を演じました。しかしその後、横ばいとなり、米国、そしてリーマンショック後の景気回復で先行したドイツ、カナダに追い抜かれました。(英国やフランスにも追い抜かれ、韓国が接近中)

 こうした状況について、ある社会心理学者は、世界における日本の現在の地位について以下のように述べています。(以下、筆者要約)

 日本は人口が比較的多いため※、GDPの規模は大きいものの、成長を続けるアメリカ、急成長期にある中国に比べると、成長の速度は鈍いと言わざるを得ない。一人あたりGDPで見ると、日本は「特別」豊かな国ではなくなってきている。

 経済のほか、科学・技術においても、日本の相対的地位は低下し続けている。もはや日本はアジアにおけるモデルケースではなく、アジア地域において最も重視すべき相手ではなくなってきている。※217位中11位。世界銀行のデータより。

 手厳しい見解です。心情的に認め難い内容を含んでいますが、この中の一部はデータが物語る以上、部分的には認めざるを得ません。これらのデータと見解を踏まえた上で、次より、日本の人口動態に関するデータに注目します。