8月に注目したい新興株の動き

 マザーズ指数の年初来安値は、5月17日に付けた1,042.82ポイント。7月末時点で、年初来安値まで4%弱水準に迫っていますので、底抜けが心配される位置から8月相場に突入します。ファンダメンタルズより需給優先の市場だけに、安値を下回る(=指数ベースですが、年初以降の買い手は含み損状態)のは辛いところ…。

 とはいえ3カ月前でいえば、5月17日に安値を付けた後にリバウンドしています。この辺で下げ止まれるか? 逆張り買いが報われるシーズンを期待したい、そんな8月です。

 今年の年初来安値を付けた5月17日は何の日だったか? といえば(ほぼ3カ月前ですが)、「マザーズ銘柄の決算発表集中日の翌日」でした。110社程度の決算発表が5月14日に出て、週明け17日、決算発表銘柄を中心に“阿鼻(あび)叫喚”の投げ売りモード。

 この日の前場だけで、マザーズ銘柄の40社強が前日比10%安以上の下落率を記録する惨事でした。ただ…これをもって、アク抜け。3カ月前と照らし合わせると、この8月も、3カ月に一度の四半期決算集中日(今年は8月13日に111社が発表予定)の通過を待ちたいところ。

 ちなみに、マザーズ指数に対する影響度の大きい銘柄でいえば、12日に本決算を発表するメルカリ、13日に本決算を発表するフリーが注目。

 ここまで、マクアケ、弁護士ドットコムなどの主力ネット銘柄が決算発表後に値崩れしており、需給が悪いことも重なって決算への辛口判定が続いています。3カ月に1度訪れる“鬼門”の決算発表シーズンを通過した先、8月後半に期待したいところです。

 とはいえ、3カ月前の決算通過後は、日経平均も大きく上昇。ここでは、ワクチン接種で出遅れていた日本のワクチン接種加速がカタリストとして存在しました。現状はデルタ株の感染が拡大しており、日本独自の買いカタリストが見当たらないように見えます。

 そうなると、米国株の動向次第になりますが、8月は長期休暇を取得する市場参加者も多く、売買も少なくパフォーマンスの低調な月とも知られています。今年の8月でいえば、月末(26~28日)のジャクソンホールでのパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長発言にも注目は高く、上値を切り上げる米国株市場のイメージが描きづらいところ。

 米国株の上値が重いことを前提とすれば、日経平均も上値が重いと想定されます。そして、日経平均の上値が重い場合、日経平均の2倍動く日経レバETFも上値が重く、今年最大級に積み上がった日経レバETFの信用残が日本時間の上値を重くすることも想定されるところ。

 また、日経平均が重いとすれば、個人が逆張りで買い集めてきたソフトバンクグループも上がりにくいでしょう。個人投資家のセンチメントを早く改善するには、この2銘柄のリバウンドが必須! これさえ実現すれば、マザーズや直近IPOのリバウンド狙いも活発化してくるはずです。

 あくまで筆者の「(8月は)米国株の上値が重そう」という想像ベースですが、米国の景気減速懸念や中国リスクと無縁にも見えるマザーズ市場は、米国株の上値が重いことで信用評価損益を悪化させ、それを通じて横に広がる市場と覚えておいてください!

 それくらい、目下の需給環境は最悪なレベル。値ごろ感(いつも見ている銘柄が、直近の高値に比べて随分安いと感じて押し目買いしたくなる感覚)での安易な逆張り買いは控えるのが得策だと思われます。