7月の新興株<マザーズ、ジャスダック>マーケットまとめ

 7月の新興株市場は、マザーズ市場が再び安値を探る展開に。月間騰落率は、日経平均株価▲5.2%、TOPIX(東証株価指数)▲2.2%、日経ジャスダック平均▲1.1%、東証マザーズ指数▲10.1%。突出して安いのが東証マザーズ指数で、次いで日経平均株価…双方とも、コロナショックの昨年3月以来となる月間下落率を記録しています。

 7月は、海外でもデルタ株の感染拡大が嫌気され、景気減速懸念を理由に景気敏感株中心に売られるケースが多く見られました。日本でもコロナ感染者数の増加で、再び緊急事態宣言が発令され、これが景気敏感株に逆風。そのほか、中国当局が統制強化の姿勢を示すことも嫌い、中国への投資も多いソフトバンクグループ株が売り方の標的に。

 マザーズ銘柄は、いずれとも無関係な会社ばかりなのですが…株式需給の悪化を通じて、マザーズ市場にも飛び火。逆張りで日本の個人投資家に人気のツートップが日経平均レバETFとSBGなため、日経平均&SBGの下落は個人の評価損益率に直撃します。これが、マザーズの信用残の多い銘柄を中心にロスカット誘発、売りが売りを呼ぶような展開となりました。

 また、個人が短期で盛り上がっていた新興株も、6月以降に上場した直近IPO(株式の新規公開)に集中。この直近IPOも、7月後半から全部安モードに一変すると、底無し沼状態で安値を切り下げる銘柄が相次ぎました。

 値下がりで需給が悪化するなか、個人投資家の押し目買いが入りにくい“特殊な環境”だったことも影響したように思われます。東京五輪が開幕したことで、ザラ場中放送される五輪中継へ個人投資家の関心が向かいます。

 これと、地合いの悪さが相まって、マザーズ銘柄の流動性が低下。安値に接近しながらフローが少ないという“手出し無用”なムードが広がりつつ7月を終えました。

7月の売買代金ランキング(人気株)

 7月の売買代金トップはEnjin。6月のIPO後最初の決算で、市場の期待を上回るガイダンスを示して急騰しました。こういう銘柄が出てくると市場を活気づけますが、Enjinは6月IPOのため、(マザーズ指数構成銘柄ではなく)マザーズ指数への影響はゼロ。

 そもそも、個人の需給悪化を主因とした7月の下落でしたので、マザーズの信用買い残1位アンジェス(売買代金ランキングでは19位)、2位BASE(同12位)の急落が象徴する「塩漬け株のロスカット」が市場全体を沈下させたといえそうです。

 マザーズ市場の1日当たり売買代金は1,572億円(1月2,311億円→2月2,037億円→3月1,637億円→4月1,567億円→5月1,427億円→6月1,360億円)と、3月以来の水準に回復しています。その理由は、ひとえにランキングには入っていない(25日移動平均売買代金が計算できないため)直近IPOばかりに短期資金が集まったため。

 日本電解が序盤盛り上がっていましたが、7月IPOが出てくると新しいIPOに資金が移動。その大半が、初値形成後の高値圏の滞空時間が短く、急落…「今度こそ、今度こそ」の繰り返しで入った個人の逆張り買いが裏目となり、マザーズ指数に含まれない「直近IPO」を起点に需給が悪化。

 それが、マザーズ指数に含まれる「直近IPO以外の銘柄」に波及しながら崩れる“負の連鎖”につながりました。

市場 コード 銘柄名 7月末
終値
時価総額
(億円)
売買代金
25日移動平均値
(億円)
月間
騰落率
東証マザーズ 7370 Enjin 3,315 244 104.2 31.8%
東証マザーズ 4934 Pアンチエイジ 15,210 1,326 95.9 5.5%
東証マザーズ 4068 ベイシス 7,220 131 83.0 36.5%
東証マザーズ 7373 アイドマHD 6,150 466 62.2 75.0%
東証マザーズ 4385 メルカリ 5,720 9,027 61.7 -3.1%
ジャスダック 4582 シンバイオ 2,009 772 53.6 -16.2%
ジャスダック 4932 アルマード 883 92 39.8 -0.5%
ジャスダック 2702 マクドナルド 4,940 6,568 35.5 0.8%
東証マザーズ 7342 ウェルスナビ 4,240 1,933 35.1 5.1%
東証マザーズ 6521 オキサイド 7,120 336 34.2 -29.2%
ジャスダック 6890 フェローテック 2,887 1,078 32.6 -15.5%
東証マザーズ 4477 BASE 1,140 1,263 31.6 -32.5%
ジャスダック 1407 ウエストHD 4,915 2,262 28.7 25.2%
東証マザーズ 6255 エヌピーシー 893 197 24.1 9.3%
東証マザーズ 4485 JTOWER 7,260 1,594 23.8 29.0%
ジャスダック 8256 プロルート 405 119 22.5 80.8%
ジャスダック 6614 シキノハイテック 3,400 147 19.9 -11.0%
ジャスダック 6629 テクノHR 1,814 382 19.7 6.1%
マザーズ 4563 アンジェス 687 1,052 18.9 -23.2%
マザーズ 4436 ミンカブ 3,885 579 17.1 0.4%

売買代金ランキング(5銘柄)

1 Enjin(7370・東証マザーズ)

 6月18日上場の直近IPO(公開価格1,380円、初値2,150円)で、中小企業向けPR支援サービスを主力事業としています。セカンダリーの値動き良好な数少ない直近IPOだった同社が、13日に本決算を発表。「IPO後最初の決算は重要」と言われますが(最初の印象が投資家に長く残るため)、市場の期待に応える文句無しの好決算でした。

 前2021年5月期は、営業利益が前期比2倍の6億円と、IPO時に示していた5億円を超過。また、今2022年5月期の期初ガイダンスは、売上高で前期比44%増の31億円、営業利益で同54%増の9.3億円と大幅な増収増益見通しでした。

 実績もガイダンスも合格な内容を受け、発表翌日にストップ高、上場来高値を16日高値の4,525円まで切り上げる圧巻の動きを見せました。

 ただ、その後はマザーズ市場の地合いに巻き込まれ、月末にかけて上昇分を打ち消す展開に…。好決算を見た後に大きく調整したため、信用を使った逆張り買いが急増。信用買い残が発行済み株数の14%相当に積み上がってしまい、需給を悪化させる格好に。

2 プレミアアンチエイジング(4934・東証マザーズ)

 怒涛(どとう)のリバウンドで、無理かと思われた上場来高値をあっさりブレイクした7月のPアンチ。6月に発表した第3四半期決算での上方修正見送りを受け、マザーズ屈指の人気銘柄だっただけに想像以上に失望売りが殺到。

 5月末の高値1万7,120円をピークに、6月後半には1万2,000円台を付ける場面も…。そこから7月16日に付けた最高値1万9,190円まで切り上がったわけで、「誰が買ってるの?」と市場参加者間でも話題に上っていました。

 最も上昇したのは13日(前日比10.6%高)。この日、国内大手証券が投資判断「2」、目標株価1万8,300円で新規カバレッジしたことが手掛かりになりました。決算の好調と、中長期的な中国事業の拡大期待を理由にすると。

3 ベイシス(4068・東証マザーズ)

 携帯電話基地局やIoTなど通信インフラのエンジニアリング業者。6月24日上場の直近IPOで、波乱の幕開けで話題にもなりました。5G関連のIPOとして、初値は公開価格(2,040円)を大きく上回る5,200円に。初値を付けたあと、初日は一時ストップ高するなど人気化…それが一転、翌25日はストップ安で寄り付くという、過去にも記憶にないような動きとなりました。

 7月に入り、直近IPO物色が盛り上がるなか、仕切り直し的に再び人気化。数少ない高値を更新する需給良好なる値がさIPOということもあってか、19日高値で1万1,510円まで上昇。

 通信インフラを得意とするとはいえ、通信工事業者としては高いバリュエーションを付けにくいと見られていましたが、短期資金が集まる物色の中心になっている期間はそんなことお構いなし。需給が全ての世界の中心になったベイシスの圧勝でした。

4 ウェルスナビ(7342・東証マザーズ)

 マザーズ市場の地合いが悪かった7月ながら、大型マザーズ銘柄としては優秀なパフォーマンスを残せたウェルスナビ。急激に上向いたのは27日で、きっかけは外資系証券による新規カバレッジでした。

 米系証券がこの日、同社を投資判断「オーバーウエート」で新規カバレッジを開始。株価4,000円近辺のタイミングで、目標株価を6,000円と強気の設定にしていたことがインパクトにつながりました。ロボアドバイザー市場は黎明(れいめい)期で、成長ポテンシャルは巨大と。

 なお、同社の「WealthNavi」の預かり資産残高は、リリース約5年の7月13日時点で5,000億円を突破したとも発表されています。

5 BASE(4477・東証マザーズ)

 月間32%の下落は、2019年10月の上場来、月間では最低パフォーマンスに。バリュエーションの高いグロース株売りの地合いが続くなか、ジワジワ下値を切り下げていたのですが、底抜けのような格好になったのが28日、そして月末30日でした(両日とも12%安)。

 マザーズ市場全体の地合い悪化が加速するなか、溜まっていた信用買い残のロスカットで下方向に走ったといえますが…そもそも何が警戒されていたのでしょうか?

 考えられるのは、BASEが第2四半期の決算発表を8月5日に控えていたこと。決算リスクが意識されるなか、先に決算発表したのが同じ巣ごもり関連で昨年人気化したマクアケでした(7月27日決算発表)。

 そのマクアケが、第3四半期決算タイミングで通期予想を下方修正、翌28日がストップ安売り気配のまま終了したことが同社への連想売り意識を強めるきっかけに。これで水準を切り下げたことで需給が悪くなり、前述の信用買い残のロスカット誘発の流れが生まれたように見えます。

7月の株価値上がり率ランキング

 新興株市場の地合いが悪いなかで、異彩を放ったのが月間値上がり率トップのグローバルウェイ。月間パフォーマンスで2.6倍を記録していますが、7月最終週だけでこの上昇率を実現しています(8月第1週もさらに急騰)。

 ド派手な値動きをしたグローバルウェイが目を引きますが、急騰後でも時価総額30億円台の超小型株。ランキングに入ったその他の銘柄でも、半分が時価総額100億円未満の小型株でした。

 そのほかでは、6月IPOからアイドマHD(値上がり率3位)、ベイシス(同7位)、Enjin(同11位)もランクイン。直近IPOも好調だったように見えますが、新興株の6月IPOは21銘柄ありましたので、ランクイン銘柄はごく一部。

 大半が初値を大きく下回り、公募価格すら割り込む、最悪レベルのIPO地合いでした。改めて、「そもそもの公開価格が高過ぎる」そんな愚痴しか出ないIPOシーズンも無事に通過…。

市場 コード 銘柄名 月間
騰落率
7月末
終値
前月末
終値
時価総額
(億円)
東証マザーズ 3936 グロバルウェ 158.5% 3,105 1,201 36
ジャスダック 8256 プロルート 80.8% 405 224 119
東証マザーズ 7373 アイドマHD 75.0% 6,150 3,515 466
東証マザーズ 2978 ツクルバ 61.6% 1,136 703 115
東証マザーズ 9326 関 通 42.3% 4,220 2,965 144
ジャスダック 8886 ウッドフレンス 39.5% 3,445 2,469 51
東証マザーズ 4068 ベイシス 36.5% 7,220 5,290 131
ジャスダック 9073 京極運 35.2% 852 630 27
ジャスダック 5935 元 旦 34.7% 5,860 4,350 45
ジャスダック 9812 テーオーHD 32.4% 495 374 44
東証マザーズ 7370 Enjin 31.8% 3,315 2,515 244
東証マザーズ 2981 ランディックス 31.7% 2,500 1,898 71
東証マザーズ 4485 JTOWER 29.0% 7,260 5,630 1,594
ジャスダック 7807 幸和製作 28.6% 1,130 879 49
東証マザーズ 6086 シンメンテHD 28.4% 1,222 952 132
ジャスダック 2927 AFC-HD 25.8% 1,268 1,008 182
ジャスダック 1407 ウエストHD 25.2% 4,915 3,925 2,262
東証マザーズ 7086 きずなHD 24.3% 2,033 1,635 70
ジャスダック 4918 アイビー 24.1% 1,024 825 52
ジャスダック 9941 太洋物 20.4% 595 494 8

値上がり率ランキング(5銘柄)

1 グローバルウェイ(3936・東証マザーズ)

 彗星(すいせい)のごとく現れ、株価急上昇で知名度も急上昇した銘柄。株価急騰のきっかけは、21日に発表した通期の純利益の上方修正でした。上方修正の理由は、傘下にあるスイスの会社が手掛る仮想通貨“タイムコイン”を一定数売却することで、営業外収益が増加(純利益で6,500万円上振れ要因)したためと…。

 さほど強材料にも見えないものの、発表翌日から月末30日まで5営業日連続でストップ高に(ついでに8月2日、3日もストップ高)。後講釈すら難しい展開でしたが、あえて言うなら、「持ってる人が少ない銘柄だった」というのが仕手株化した要因でしょうか。

 この発表前の同社株の信用買い残は約4,000万円、1日の売買代金は約200万円でしたので、ほとんどの投資家が持っていなかった(そもそも知らなかった)…その株に短期資金が大挙したことで、とてつもない需給ギャップが発生したのだと思います。

2 プロルート丸光(8256・ジャスダック)

 小型低位株の意外なコロナ関連材料が大きな刺激に。同社が子会社化を予定していたマイクロブラッドサイエンスが、新型コロナウイルス治療薬の開発で変異株に対応できる有望な結果を示したと、9日にリリース。材料株を買い上がるのは信用買いの個人投資家で、13日より日々公表銘柄に指定され、21日から信用規制も発動しました。

 信用取引の規制に関しては随時ネガティブな反応を示すも、21日引け後にマイクロブラッドサイエンスの子会社化を正式発表。翌日急騰したのを最後にピークアウトしましたが、小型株かつ衣料品問屋大手が出した意外なコロナ関連材料に乗っかる個人投資家は多かったようです。

3 ツクルバ(2978・東証マザーズ)

 月初から急騰、きっかけは6月末に関東財務局に提出した有価証券届出書でした。ソフトバンクグループの前副社長の佐護氏が、同社の第三者割当増資の割当先(増資後の保有比率で2.3%相当)と判明したことが手掛かりに。

「佐護氏が買うならいいんじゃないか?」と感じる投資家が多かったようです。その佐護氏は、純投資で長期保有する方針とメディアで伝わっていました。

 材料の迫撃弾が投下されたのが9日。知名度の高いマネーフォワードと業務提携すると発表したことで再動意し、過熱していたところに燃料を入れたような展開へ。マネーフォワードと提携し、不動産所有者向けサービスの企画開発を2022年内に始めるそうです。強そうな材料ですので、2022年内にきっちり成果を見せてほしいもので…。

4 関通(9326・東証マザーズ)

 14日に発表した業績の上方修正と株式分割で急騰。関通は、3カ月前の決算発表翌日もストップ高、今回も発表翌日にストップ高…決算に強い株といえそうです。14日に今2021年3-8月期の業績上方修正を発表。営業利益予想を前年同期比2.5倍の3.2億円に上方修正(従来予想は1.9億円)しました。通期予想は据え置いています。

 また、同時に発表した8月末の株主を対象にした株式3分割がサプライズとなりました。発表翌日はストップ高買い気配で終了し、発表後高値は21日の4,750円で、これが昨年3月上場以降でも最高値に。ポジティブな株価材料が少ない時期だけに、(将来的にプラスかどうかは別として)株式分割の初動の買いインパクトは健在のようです。

5 ウエストHD(1407・ジャスダック)

 新興の大型株でいえば、地合い悪の7月に大幅な値上がりをした希少な大型株でした。太陽光発電関連事業を手掛ける同社は、政策の恩恵を期待できる脱炭素関連として7月に人気化。ただ、業績の好材料はむしろ嫌気され、15日に発表した今2021年8月期の上方修正は出尽くし的な売り要因に。

 バリュエーション面では割安感はないものの、同社は完全なテーマ株(再生エネルギー関連株)。テーマ性をくすぐるニュースのほうが決算材料より強く、7月上昇の原動力になったのもテーマ性に関するニュースでした。

 7月後半は、政府による電源構成の原案を材料視。2030年度にも、総発電量に占める再生可能エネルギー比率を36~38%(原子力は20~22%)にする方向と伝わり、太陽光発電の大量導入を期待した思惑買いで上場来高値を更新しました。

8月に注目したい新興株の動き

 マザーズ指数の年初来安値は、5月17日に付けた1,042.82ポイント。7月末時点で、年初来安値まで4%弱水準に迫っていますので、底抜けが心配される位置から8月相場に突入します。ファンダメンタルズより需給優先の市場だけに、安値を下回る(=指数ベースですが、年初以降の買い手は含み損状態)のは辛いところ…。

 とはいえ3カ月前でいえば、5月17日に安値を付けた後にリバウンドしています。この辺で下げ止まれるか? 逆張り買いが報われるシーズンを期待したい、そんな8月です。

 今年の年初来安値を付けた5月17日は何の日だったか? といえば(ほぼ3カ月前ですが)、「マザーズ銘柄の決算発表集中日の翌日」でした。110社程度の決算発表が5月14日に出て、週明け17日、決算発表銘柄を中心に“阿鼻(あび)叫喚”の投げ売りモード。

 この日の前場だけで、マザーズ銘柄の40社強が前日比10%安以上の下落率を記録する惨事でした。ただ…これをもって、アク抜け。3カ月前と照らし合わせると、この8月も、3カ月に一度の四半期決算集中日(今年は8月13日に111社が発表予定)の通過を待ちたいところ。

 ちなみに、マザーズ指数に対する影響度の大きい銘柄でいえば、12日に本決算を発表するメルカリ、13日に本決算を発表するフリーが注目。

 ここまで、マクアケ、弁護士ドットコムなどの主力ネット銘柄が決算発表後に値崩れしており、需給が悪いことも重なって決算への辛口判定が続いています。3カ月に1度訪れる“鬼門”の決算発表シーズンを通過した先、8月後半に期待したいところです。

 とはいえ、3カ月前の決算通過後は、日経平均も大きく上昇。ここでは、ワクチン接種で出遅れていた日本のワクチン接種加速がカタリストとして存在しました。現状はデルタ株の感染が拡大しており、日本独自の買いカタリストが見当たらないように見えます。

 そうなると、米国株の動向次第になりますが、8月は長期休暇を取得する市場参加者も多く、売買も少なくパフォーマンスの低調な月とも知られています。今年の8月でいえば、月末(26~28日)のジャクソンホールでのパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長発言にも注目は高く、上値を切り上げる米国株市場のイメージが描きづらいところ。

 米国株の上値が重いことを前提とすれば、日経平均も上値が重いと想定されます。そして、日経平均の上値が重い場合、日経平均の2倍動く日経レバETFも上値が重く、今年最大級に積み上がった日経レバETFの信用残が日本時間の上値を重くすることも想定されるところ。

 また、日経平均が重いとすれば、個人が逆張りで買い集めてきたソフトバンクグループも上がりにくいでしょう。個人投資家のセンチメントを早く改善するには、この2銘柄のリバウンドが必須! これさえ実現すれば、マザーズや直近IPOのリバウンド狙いも活発化してくるはずです。

 あくまで筆者の「(8月は)米国株の上値が重そう」という想像ベースですが、米国の景気減速懸念や中国リスクと無縁にも見えるマザーズ市場は、米国株の上値が重いことで信用評価損益を悪化させ、それを通じて横に広がる市場と覚えておいてください!

 それくらい、目下の需給環境は最悪なレベル。値ごろ感(いつも見ている銘柄が、直近の高値に比べて随分安いと感じて押し目買いしたくなる感覚)での安易な逆張り買いは控えるのが得策だと思われます。