下値を試す場合の目安は?:トレンドの状況と株価水準による押し目

 続いては、トレンドの状況と株価水準による押し目で見ていきます。

■(図4)日経平均(日足) その2(2021年7月30日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図4は、日経平均が高値を取りに行く起点となった昨年10月30日から今年2月16日の上昇幅に対する押し目ラインです。

 2月16日以降の日経平均は、それぞれのラインがサポートもしくは抵抗として機能する場面が多いことがわかりますが、先週の日経平均は、「38.2%押し」から「50%押し(半値押し)」のゾーンに足を踏み入れる格好となっています。

 そのため、株価が下落して行った場合、50%押しラインである2万6,831円で下げ止まれるかが焦点になりそうです。なお、この価格帯は昨年12月に1カ月近くもみあっていた経緯もあり、下げ止まりの水準として強く意識されそうです。

 反対に株価が上昇した際には、先週乗せきれなかった2万8,000円台や、図2や図3の移動平均線乖離率ボリンジャーバンドの+2σまでの各値あたりが目安となります。

 冒頭でも触れたように、足元の日本株は、(1)新型コロナウイルスの感染状況をはじめ、(2)秋の政局を控えた不透明感や、(3)積み上った信用買い残の期日が迫っていること、そして、(4)先週発表されたIMF(国際通貨基金)の世界経済見通しで、2021年の日本の成長率がG7の中で唯一下方修正されたことなど、懸念材料に包囲されているような状態のため、日本株を積極的に買いづらい状況となっています。

 国外要因についても、中国の景気やIT規制など当局の姿勢などが警戒され始めています。ちなみに、今週あたまに中国7月製造業PMI(購買担当者指数)、3日(火)にアリババの決算発表が予定されています。

 確かに、日本株は上値を追えないものの、これだけの懸念材料がそろっていながら、何とか粘り腰を見せている印象ですし、株価水準の割安感を指摘する見方も増えつつあります。

 現在の「懸念材料の包囲網」が夜明け前のいちばん暗い時期かどうかの見極めがまだハッキリしていないため、下振れ警戒は依然としてくすぶりますが、需給不安が後退すると思われる8月第2週あたりのタイミングで、株価の反発もしくは戻りに勢いが出てくることも考えられるため、ガマンが必要ですが、敢えて安いところを拾うのも悪くないかもしれません。