銘柄コメント

三機工業(1961・東証1部)

▼どんな銘柄?

 設備工事大手企業の一社です。空調、衛生、電気、情報通信、オフィス移転などの建築設備事業、搬送システム、コンベヤーなどの機械システム事業、上・下水処理施設、ごみ焼却施設などの環境システム事業といった幅広い事業領域で展開しています。

 オーストリア、中国、タイ、米国に関連会社があります。高効率な省エネルギー設備を備えた建築物を指すZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル) Ready物件の竣工(しゅんこう)実績などもあります。

業績見通し

 2021年3月期営業利益は75億円で前期比29.7%減益となっています。ビル空調衛生を中心に大型工事が端境期となったほか、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって小口・諸口工事が減収となりました。

 一方、2022年3月期は95億円で同26.7%増益の見通しとしています。前期に落ち込んだ電気設備の反動増を見込むほか、主力のビル空調衛生設備も堅調な増加を見込んでいます。

 ちなみに、受注高に関しては、前期第4四半期にかけて大きく回復する状況にもなっています。

ここがポイント

 営業利益の推移は、2016年3月期65.1億円、2017年3月期60.1億円、2018年3月期65.9億円、2019年3月期106.4億円、2020年3月期106.7億円と推移しています。

 2016年3月期は前期比2.2倍と急拡大していたため、仮に期間を6年間とした場合の平均成長率は一気に高まることになります。年間配当金は2016年3月期の30円に対して、2022年3月期は70円の計画になっています。

 5年前との比較では、産業空調設備、環境プラント設備などの売上規模が大きく拡大しています。

アサヒホールディングス(5857・東証1部)

▼どんな銘柄?

 貴金属事業が主力となります。歯科分野を中心とした貴金属含有スクラップからの貴金属リサイクル、金および銀を米国やカナダで精錬する北米精錬などを手掛けています。

 また、各種廃棄物の収集運搬・処理・リサイクルなどを手掛ける環境保全事業、マッサージチェアや空調システムを扱うライフ&ヘルス事業も行っています。

 金市況が上昇した際には関心が高まる銘柄となります。配当性向は50%以上をメドとしています。

業績見通し

 2021年3月期営業利益は251億円で前期比39.5%増益になっています。貴金属価格の上昇が寄与したほか、北米精錬事業分野における製品加工・販売の拡大など、貴金属事業セグメントがけん引する形になりました。

 2022年3月期は260億円で同3.5%増と、5期連続での最高益更新となる見通しです。貴金属事業が引き続き堅調に推移する見通しであるほか、工業生産活動の回復によって産業廃棄物排出量も増加し、環境保全事業セグメントも回復に転じるとみています。

ここがポイント

 営業利益の推移は、2016年3月期60.6億円、2017年3月期20.4億円、2018年3月期137.9億円、2019年3月期144.8億円、2020年3月期180.1億円と推移しています。

 年間配当金は2016年3月期の60円に対して、2022年3月期は90円の計画になっています。ただ、2021年4月に1:2の株式分割を実施していることから、実質的には6年間で60円の増配、3倍の水準となります。

 5年前との比較では、貴金属リサイクル事業の売上収益、営業利益水準が大幅に拡大する形となっています。

稲畑産業(8098・東証1部)

▼どんな銘柄?

 化学品の専門商社で、住友化学が21%超を保有する筆頭株主となっています。情報電子や合成樹脂が主力分野となり、ほかに化学品や建材、医農薬や農産物なども扱っています。

 海外事業の割合が50%超を占めています。現在は、「自動車分野」「ライフサイエンス・医療分野」「環境・エネルギー分野」などに注力しているようです。

 中計における配当政策として、前年度実績を下限として減配を行わない累進配当を導入しています。

業績見通し

 2021年3月期営業利益は150億円で前期比13.2%増益となりました。利益面では過去最高を更新しています。

 新型コロナウイルスの影響で合成樹脂や化学品事業を中心に減収となりましたが、情報電子事業における販管費の低減効果、生活産業事業の売上伸長により、増益を確保しています。

 一方、2022年3月期は145億円で同3.2%減益の見通しとしています。貸倒引当金戻入益の一巡による情報電子の減益を見込んでいるようです。

ここがポイント

 営業利益の推移は、2016年3月期113.7億円、2017年3月期126.2億円、2018年3月期59.6億円、2019年3月期140.3億円、2020年3月期132.3億円と推移しています。年間配当金は2016年3月期の40円に対して、2022年3月期は70円の計画になっています。

 中期計画の数値目標としては2024年3月期165億円を掲げています。

 5年前との比較では、トータル売上高は横ばいですが、情報電子事業の構成比が高まっており、結果的に高付加価値化の進展による利益率の向上が図れています。