【3】最後にマネーのライフプランを考える

 バランスシート、収支が把握できたら、次に「マネーのライフプラン」を作りましょう。といっても、難しく考えることはありません。とりあえず定年退職を65歳として、それまでに、ネット金融資産(金融資産から負債を差し引いた金額)をいくらまで増やせるか、考えることから始めましょう。

「どうしていいか、皆目、見当もつかない」という方に、見ていただきたいものがあります。年齢別の、家計の平均貯蓄額です。これを参考に、考えてください。

世帯主の年齢階級別貯蓄・負債現在高・年間収入・持ち家比率:2人以上の家計、2020年平均

注:ネット貯蓄高の▲はマイナス(負債超過)をあらわす
出所:総務省統計局より楽天証券経済研究所が作成

 平均値は、ごく少数の富裕層が引き上げているので、平均的な感覚よりも高めに出ます。平均値はあくまで参考にとどめ、ご自身にあったマネーのライフプランを考えてください。

 ただ、それでも年齢別の貯蓄・負債残高平均を見ると、「ああ、やっぱりそうか」と参考になるところもあります。49歳以下の世代では、貯蓄より負債(借金)の方が多いことです。

 40歳代は平均1,231万円の負債を抱えています。貯蓄よりも負債の方が、150万円多くなっています。50歳代になって、やっと貯蓄が負債よりも大きくなります。1,004万円の貯蓄超過となります。

 20~40歳代の負債の9割以上が「住宅・土地のための負債」です。住宅ローンを抱え、また、子供のいる世帯では教育費の負担も抱えて奮闘している姿が浮かび上がってきます。

 住宅ローンを借りて住宅を購入する計画がなければ、もっと早く、貯蓄を増やすことができます。平均値を見ると、持ち家比率は、20歳代で34%、30歳代で65.7%、40歳代で78.9%と上昇しています。持ち家がいいか貸家がいいかは、個人個人の事情に応じて、選択すれば良いと思います。

 とは言っても、「人生は海図なき航海」、将来の計画は、何度も変更が必要になるでしょう。人生の大きなイベント(結婚・出産・持ち家の購入・転職・海外転勤・離婚・介護……)ごとに、マネーのライフプランは書き換える必要が生じるかもしれません。何回、書き換えてもOKです。その時その時で、妥当と思われるマネープランを作り、毎年バランスシートを作りながら進捗(しんちょく)をチェックしていきましょう。

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2021年7月6日:FIREを実現する4つの道筋、マネーのライフプランの作り方(その1)