日経平均は2万7,500円が当面の下値の目安に

 ちなみに、株価が下落してしまった場合には、図1の200日移動平均線を下抜けてしまうことになり、下向きトレンドの色彩がより濃くなってしまいますので、その場合には、より期間を長くした75日移動平均線のボリンジャーバンドが参考になるかもしれません。

■(図3)日経平均の移動平均線乖離率(75日)のボリンジャーバンド

出所:MARKETSPEEDⅡのデータを元に筆者作成

 75日移動平均線乖離率は、MAに抑制される格好で、再びマイナス1σを下回っている状況です。

 こちらも、同じように9日(金)時点の値を元に、それぞれの株価のメドを計算すると、プラス2σで3万168円、プラス1σで2万9,497円、MAで2万8,829円、マイナス1σで2万8,160円、マイナス2σで2万7,492円となります。

 したがって、先ほどのPERによる割安度などと合わせて、日経平均は2万7,500円が当面の下値の目安として強く意識されると思われるほか、今後は株価と200日移動平均線との位置関係がポイントになる場面が増えるかもしれません。

■(図4)日経平均(日足)の動き(2021年7月2日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 日経平均の日足チャートを長期間で眺めてみると、「株価の底打ちから上昇して、200日移動平均線を超えたあたりでしばらくもみ合いが続いた後に一段高で高値をとり、再び200日移動平均線まで調整」という値動きのパターンは、2016年からの相場でも見られました。

 当時は、その後の株価が200日移動平均線を挟んだ上下を繰り返しながら、再度の高値をつけて、いわゆる「ダブルトップ」で天井圏を形成して、株価が大きく下落する展開となり、以降はしばらく200日移動平均線が上値の重しとなっていきました。