今週株価が下落した場合は押し目買いの好機?

 ここで気になるのは、こうした米株市場の流れについていけない日本株の動きです。

 基本的には、国内ワクチン接種進展による日本株の出遅れ修正や、企業業績という相場の視点自体は大きく崩れているわけではなく、引き続き、ワクチン供給や感染状況などをにらみながら動く相場地合いなのですが、ここにきてワクチンの供給が滞りがちになっていることや、五輪開催までカウントダウンとなった現段階において、変異型ウイルスの感染が拡大していること、4日(日)が投開票日の東京都議会選挙の結果待ちなどもあり、買いが入りづらかったと考えられます。

 さらに、株価指数連動型ETF(上場投資信託)の決算が今週多く予定されていることが警戒されているという見方もあるようです。

■(図6)今週決算を迎える主な指数連動型ETF

出所:MARKETSPEEDⅡデータおよびJPXのウェブサイトを元に筆者作成

 上の図6は、今週に決算を迎える、日経平均とTOPIXに連動するETFの決算予定の一覧です。確かに8日(木)と10(土)に集中していることが分かります。ETF決算の何が警戒されているかというと、決算日が分配金支払いの基準日でもあるからです。

 つまり、分配金の支払い原資をつくるために、8日(木)と9日(金)に換金売りが出やすいと考えられています(10日[土]決算の銘柄は前日の9日[金]に売りが出てくると思われます)。この両日で約8,300億円の売りが出てくるとも報じられています。

 実は、指数連動型ETFの分配金総額は増加傾向にあり、具体的には、2018年が4,850億円、2019年が約6,300億円、2020年が約7,200億円、そして今回の約8,300億円と、ここ数年で倍近く増えており、市場に与える影響も大きくなっています。

 しかも、今週末はオプション・mini先物取引のSQ日というタイミングでもあり、注意が必要です。

 逆を言えば、こうした需給要因から解放される来週以降は買いが入りやすくなると考えることもできますので、今週株価が下落した場合には押し目買いの好機となるかもしれません。