米国株市場は雇用統計を受け、3指数そろって最高値更新

 その一方で、上昇基調が続いていたのが米国株市場です。

■(図3)米NYダウ(日足)とMACD(2021年7月2日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週のNYダウは25日移動平均線を意識したもみ合いから、週末にかけて上昇を加速させ、週末7月2日(金)の取引では、終値ベースでの最高値を更新してきました。下段のMACDもシグナルや「0ドル」ラインを上抜けており、上方向への意識を強めているように見えます。

■(図4)米S&P500(日足)とMACD(2021年7月2日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 S&P500については、7営業日連続で最高値更新が続いています。ローソク足の並びもジリ高から週末にかけて上昇に勢いが出始めているようにも見えます。

 また、最近のS&P500は、5日移動平均線が下向きになった時に、株価が25日移動平均線の攻防まで調整することが多いことは、一応認識しておく必要がありそうです。

■(図5)米NASDAQ(日足)とMACD(2021年7月2日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 NASDAQは直近高値を超えたあたりから上昇に勢いが出始め、足元ではS&P500のように連日ではありませんが、最高値を更新する場面が増えています。下段のMACDも順調に右肩上がりを描いています。

 それぞれの米株指数を日足チャートでみた場合、米株市場には死角がないようにも見えますが、あえて言えば、週末の一段高の強さがポイントかもしれません。

 米雇用統計を受けて、3指数がそろって最高値を更新したことは先ほども述べた通りですが、最近の米株市場は、例えば、NYダウが上昇する一方でNASDAQが下落するといった具合に、米金利や景況感の動向に合わせて、景気敏感銘柄をはじめとするバリュー株とIT・ハイテク銘柄を中心とするグロース株とのあいだを交互に売り買いしながら株価水準を保ってきました。

 それが、先週末にそろって上昇したことで、米株市場が新たな上昇局面に入った可能性がある一方、「いいところ取り」で楽観ムードが強まっているだけの可能性もあり、どちらなのかを見極めていくことになりそうです。

 仮に後者だった場合、そのかみ合わせがズレた際に、大きな調整局面が訪れる展開も有り得ますが、足元では、決算シーズンが近いことによる業績期待と、米金利市場や為替市場の落ち着きが共存している環境でもあるため、米株市場は利益確定売りなどをこなしつつ、株価の上昇基調が続くかもしれません。