筆者が流動性の高さにこだわる理由とは?

 このように、流動性が低い銘柄だと、買うときも今ついている株価からかなり高く買わざるを得なくなりますし、売るときもかなり安く売らざるを得なくなります。

 そして筆者が最も避けたいのが、売りたくても売れないという状況です。流動性が低い銘柄だと、それが実際に起こってしまう可能性が高いです。

 筆者は株価のトレンドに応じて売買をしています。そして売買のルールをあらかじめ厳格に決め、それを守ることで大きな損失を未然に回避するようにしているのです。

 ところが、流動性の低い銘柄の場合、例えば株価が下がったためルールに従い保有株を売却しようとしても、買い注文が少ないためかなり安く売る羽目になったり、そもそも買い注文が何も入っていないため売れなかったりする可能性が高くなります。

 そうすると、せっかく大きな損失を回避するために策定しているルールが守れなくなるため、損失が拡大してしまいかねません。

 ルールに従って売買するのであれば、今ついている株価とほぼ同じ水準で買ったり売ったりできること、という条件を満たす銘柄に投資する必要があります。

 流動性が低い銘柄だと、この条件を満たすことができないのです。

 筆者は一応の基準として、その銘柄に投資したい株数の100倍以上の売買高が毎日コンスタントにある銘柄を選択しています。もし、1,000株投資したい銘柄であれば、その100倍の100,000株の売買高が最低基準です。

流動性が低い銘柄のメリットと対処法は?

 では、流動性が低い銘柄に投資してはいけないのかというと、決してそんなことはありません。

 無論、筆者の投資手法であれば、買いたいときに買い、売りたいときに売ることができる銘柄である必要があるので、流動性が低い銘柄は自ずと避けざるをえません。

 でも、流動性が低い銘柄は、売買がしにくい分、割安になっていることが多いのです。つまり、流動性リスクが存在することによる株価のディスカウントが生じているのです。

 したがって、「自分は何があってもその株を持ち続けるのだ!」という人であれば、他の銘柄より割安に買うことができるため、流動性が低い銘柄を買うことはメリットになります。

 実際、大変著名な個人投資家だった竹田和平さんも、流動性が低い銘柄にあえて投資して、多くの銘柄の大株主になり、会社四季報にも載っていました。流動性がほとんどないのにこんなに買って大丈夫? とこちらが心配になるくらいでしたが、おそらく竹田さんは流動性に難があるのを承知で、他の銘柄より割安に買えることをメリットと考えていたのだと思います。

 銘柄選びのポイントの一つである「流動性」。今までノーチェックだった、という方は、ご自身の投資手法と照らし合わせ、流動性リスクを回避するのか受け入れるのかを決めて、投資する銘柄を選ぶよう心掛けてくださいね。