注意:上場株式でも銘柄により流動性は異なる

 筆者は特に「売りたいときに容易に売れるかどうか」を重視して、投資をしています。

 例えば、景気が悪化して株式市場も不動産市場も含めて、投資そのものに価格の大きな下落が懸念されるときであっても、上場株式であれば売却してキャッシュを温存することで、価格下落リスクを回避することができるからです。

 でも実は、上場株式ならその全てが高い流動性を有しているかといえば、そうではありません。上場株式の中でも、流動性が高い銘柄と低い銘柄があります。

 例えば、流動性の高い銘柄の売買注文状況(板情報、気配情報)は、次のような感じになっています。

〇現在の株価:1,000円

売り数量 気配値 買い数量
50,000株  1,002円  
83,000株 1,001円  
250,000株 1,000円  
  999円 79,000株
  998円 66,000株
  997円 91,000株

 もしこの株を今すぐ欲しいと思い、成行注文で1,000株の買い注文を出せば、1,000円で買うことができます。

 また、この株をすでに持っていて、今すぐ売りたいと思い、成行注文で1,000株の売り注文を出せば、999円で売れます。

 このように、流動性が高い銘柄は、現在の株価とほぼ同じ価格で買うことも売ることもできます。

 一方、流動性の低い株だと、次のようなイメージです。

〇現在の株価:1,000円

売り数量 気配値 買い数量
100株 1,080円  
200株 1,060円  
100株 1,050円  
  960円 100株
  945円 100株
  900円 100株

 もしこの株を100株欲しいと思い、成行の買い注文を出すと、現在の株価1,000円からかなり高い1,050円でないと買えません。

 逆に、この株を持っていて、100株売りたいと思って成行の売り注文を出すと、960円でないと売れないのです。

 さらに、この株を1,000株持っていたら、全部売りたいと思っても、買い注文が少ししか入っていないため、売るに売れないという状態になってしまいます。