上場株式に投資するメリットとは?
世の中にはさまざまな投資商品があります。その中でも、筆者が上場株式への投資を20年以上にわたって実践し、皆さんにお勧めしている理由の一つに「流動性の高さ」があります。
例えば、株式投資と並んで資産運用の双璧を成す不動産投資は、流動性が高くありません。
不動産は、買うにもさまざまな手続きが必要ですし、売るときは買い手を探すだけでも時間が何カ月もかかることも珍しくありません。その間、不動産市況が変化し、価格を大きく下げないと売れなかったり、物件によっては全く買い手がつかないということも大いにあり得ます。
でも、上場株式であれば、マーケットが開いている時間に注文を出せばすぐ買えますし、すぐ売れます。買いたいときにいつでも買えて、売りたいときにいつでも売れるというのは、安心して投資をするためのとても重要な条件の一つであると筆者は思っています。
投資は余裕資金で行うのが基本ですが、例えば、突然大きな病気の治療のためすぐに多額の資金が必要になったときも、上場株式ならすぐ売って換金すれば、数日でお金が手元に入ります。しかし、不動産ではそうはいきません。
注意:上場株式でも銘柄により流動性は異なる
筆者は特に「売りたいときに容易に売れるかどうか」を重視して、投資をしています。
例えば、景気が悪化して株式市場も不動産市場も含めて、投資そのものに価格の大きな下落が懸念されるときであっても、上場株式であれば売却してキャッシュを温存することで、価格下落リスクを回避することができるからです。
でも実は、上場株式ならその全てが高い流動性を有しているかといえば、そうではありません。上場株式の中でも、流動性が高い銘柄と低い銘柄があります。
例えば、流動性の高い銘柄の売買注文状況(板情報、気配情報)は、次のような感じになっています。
〇現在の株価:1,000円
売り数量 | 気配値 | 買い数量 |
---|---|---|
50,000株 | 1,002円 | |
83,000株 | 1,001円 | |
250,000株 | 1,000円 | |
999円 | 79,000株 | |
998円 | 66,000株 | |
997円 | 91,000株 |
もしこの株を今すぐ欲しいと思い、成行注文で1,000株の買い注文を出せば、1,000円で買うことができます。
また、この株をすでに持っていて、今すぐ売りたいと思い、成行注文で1,000株の売り注文を出せば、999円で売れます。
このように、流動性が高い銘柄は、現在の株価とほぼ同じ価格で買うことも売ることもできます。
一方、流動性の低い株だと、次のようなイメージです。
〇現在の株価:1,000円
売り数量 | 気配値 | 買い数量 |
---|---|---|
100株 | 1,080円 | |
200株 | 1,060円 | |
100株 | 1,050円 | |
960円 | 100株 | |
945円 | 100株 | |
900円 | 100株 |
もしこの株を100株欲しいと思い、成行の買い注文を出すと、現在の株価1,000円からかなり高い1,050円でないと買えません。
逆に、この株を持っていて、100株売りたいと思って成行の売り注文を出すと、960円でないと売れないのです。
さらに、この株を1,000株持っていたら、全部売りたいと思っても、買い注文が少ししか入っていないため、売るに売れないという状態になってしまいます。
筆者が流動性の高さにこだわる理由とは?
このように、流動性が低い銘柄だと、買うときも今ついている株価からかなり高く買わざるを得なくなりますし、売るときもかなり安く売らざるを得なくなります。
そして筆者が最も避けたいのが、売りたくても売れないという状況です。流動性が低い銘柄だと、それが実際に起こってしまう可能性が高いです。
筆者は株価のトレンドに応じて売買をしています。そして売買のルールをあらかじめ厳格に決め、それを守ることで大きな損失を未然に回避するようにしているのです。
ところが、流動性の低い銘柄の場合、例えば株価が下がったためルールに従い保有株を売却しようとしても、買い注文が少ないためかなり安く売る羽目になったり、そもそも買い注文が何も入っていないため売れなかったりする可能性が高くなります。
そうすると、せっかく大きな損失を回避するために策定しているルールが守れなくなるため、損失が拡大してしまいかねません。
ルールに従って売買するのであれば、今ついている株価とほぼ同じ水準で買ったり売ったりできること、という条件を満たす銘柄に投資する必要があります。
流動性が低い銘柄だと、この条件を満たすことができないのです。
筆者は一応の基準として、その銘柄に投資したい株数の100倍以上の売買高が毎日コンスタントにある銘柄を選択しています。もし、1,000株投資したい銘柄であれば、その100倍の100,000株の売買高が最低基準です。
流動性が低い銘柄のメリットと対処法は?
では、流動性が低い銘柄に投資してはいけないのかというと、決してそんなことはありません。
無論、筆者の投資手法であれば、買いたいときに買い、売りたいときに売ることができる銘柄である必要があるので、流動性が低い銘柄は自ずと避けざるをえません。
でも、流動性が低い銘柄は、売買がしにくい分、割安になっていることが多いのです。つまり、流動性リスクが存在することによる株価のディスカウントが生じているのです。
したがって、「自分は何があってもその株を持ち続けるのだ!」という人であれば、他の銘柄より割安に買うことができるため、流動性が低い銘柄を買うことはメリットになります。
実際、大変著名な個人投資家だった竹田和平さんも、流動性が低い銘柄にあえて投資して、多くの銘柄の大株主になり、会社四季報にも載っていました。流動性がほとんどないのにこんなに買って大丈夫? とこちらが心配になるくらいでしたが、おそらく竹田さんは流動性に難があるのを承知で、他の銘柄より割安に買えることをメリットと考えていたのだと思います。
銘柄選びのポイントの一つである「流動性」。今までノーチェックだった、という方は、ご自身の投資手法と照らし合わせ、流動性リスクを回避するのか受け入れるのかを決めて、投資する銘柄を選ぶよう心掛けてくださいね。
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