2013年のテーパリング・ショック振り返り

 テーパリングという言葉に、株式市場が神経質になるのは、2013年5月に世界株を暴落させたテーパリング・ショックがあったからです。それを日経平均の動きで振り返ります。

2013~2014年の日経平均推移:2013年1月4日~2014年12月29日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 この2年は、アベノミクスがスタートして最初の2年で、アベノミクスを評価した外国人投資家の買いで日経平均が大きく上昇した時期です。

 ただし、この2年で3回、日経平均が急落した局面がありました(チャートに矢印を書き込んだところ)。いずれも、アメリカの金融緩和終了にからむ不安が関与しています。

【1】2013年5月バーナンキ・ショック

 バーナンキFRB議長が「将来テーパリング(金融緩和縮小)が必要」と発言したことをきっかけに世界中の株が暴落しました。これが、今も語り継がれる「テーパリング・ショック」です。

 この時、日経平均は、直前の高値(1万5,942円)から安値(1万2,548円)まで21%も暴落しました。今の日経平均(約2万8,000円)に当てはめると、21%の下げとは、5,880円の下げに相当します。いかに激しい暴落であったか、わかると思います。

 ただし、この後、世界の株式は落ち着きを取り戻し、再び高値を取っていくことになります。日経平均も反発して2013年11月には高値を更新しました。

【2】2014年1月テーパリング開始

 FRB議長が交代。イエレン新議長のもとで、テーパリング(金融緩和の縮小)が開始されました。米国の金融緩和がいよいよ終わるとの不安から、世界的に株が下落しました。

 特に対外債務の大きい新興国の通貨が大きく下がり、新興国不安が高まりました。

 ただし、この世界的な株安も一時的なものでした。テーパリングが開始されたとは言え、米国がかなり緩和的な金融政策を維持していることに変わりはなく、ショック安は収束に向かいました。

【3】2014年10月テーパリング終了

 FRBが1月に開始したテーパリングが10月末で終了しました。これでQE3(FRBによる量的緩和第3弾)は完全に終了しました。量的緩和が終了する不安から、2014年10月にも世界的に株が売られました。

 この時は、エボラ出血熱の感染が広がる懸念も、世界株安の一因となりました。

 2014年10月の世界株安に終止符を打ったのは、日銀の金融政策変更でした。日銀が長期国債の買い取り額年間50兆円を80兆円に、日本株ETF(上場投資信託)の買い取り額を年間1兆円から3兆円に増やすと発表すると、日経平均が急反発、つれて世界中の株が反発・上昇しました。

 テーパリングが終了したのが2014年10月でした。ここでは、量的緩和が終わっただけで、まだ引き締めが始まったわけではありません。

 引き締めが始まる(利上げが始まる)のはそれより1年以上先の2015年12月でした。その後、引き締め(利上げ)は2018年12月まで続けられました。